米国債の暴落は絶対に忌避せよ!
いまのところは「米国債は絶対に大丈夫」という暗黙の了解が成り立っている。だが、さらに米国債が乱発されるとなると、誰かが「大量に保有しているけど、これって大丈夫か?」と言い始め、3人ほどが「確かにそうだ」と言った瞬間に暴落が始まる。パラダイム転換というのは誰かがまともな疑問を発したときに起こるものなのだ。
アメリカ以外の国にとって一番恐ろしいのは米国債の暴落であり、ドルの暴落。流動性確保のために500兆円分も輪転機を回したら、米国債はすぐに暴落する。それは世界の金融システムの本当の終わりの始まりとなる。
では、どのようにして流動性を確保すればいいのか。アメリカ発の金融危機が世界に広がって、いまや世界中で危機が高まっているのだから、世界が一致団結して流動性を供給する体制(全世界では1000兆円くらいの見せ金が必要となる)を整えるべきというのが私の主張だ。
10月のG7(先進7カ国財務大臣・中央銀行総裁会議)では、公的資金による金融機関への資本注入など世界的な危機打開に向けた行動計画を策定した。しかし、まだまだ具体性に乏しく、各国が公的資本の投入を決めても株式市場の連鎖的な乱高下は続いている。金融当局が事態をまるで理解していない、ということをさらけ出したからだ。
皆がお金がないと思うからパニックになるのであって、十分にあると思わせることができればパニックにはならない。国ごとの個別対応ではなく、世界各国が資金を持ち寄って流動性を供給する国際的な機関を組織する。
たとえば、アメリカが200兆円、EUが200兆円、中東湾岸諸国も200兆円、中国150兆円、日本100兆円、ロシア50兆円、台湾50兆円、という具合に資金を提供し合えば、1000兆円規模の資金がプールできる。そこから酸欠状態に陥った世界の金融機関に酸素を吸入していくのだ。