「景気ウォッチャー調査」が空前絶後の落ち込み
日本経済もかなり危ない状況です。図表1は、内閣府によって調査されている「景気ウォッチャー調査」です。「街角景気」と呼ばれることもあります。タクシーの運転手、ホテルのフロントマン、小売店の店頭販売員、中小企業経営者など、経済の最前線にいて景気を肌で感じている人たちへの調査です。「50」が良くなっているか悪くなっているかの基準です。
2020年3月の調査(4月8日発表)を見ると、なんと「14.2」まで下がっています。リーマンショック直後の2008年12月の「19.0」や東日本大震災直後の2011年4月の「23.9」を大きく下回る数字となっています。比較可能な2002年1月以来最低の数字です。
直近の数字を時系列的に見ると、2018年1月は「50」をわずかですが超えていました。先ほども説明したように、「50」が、景況感が良化か悪化かの境目ですから、少しは良かったと言えます。
しかし、そこから「50」を切ることが続き、2019年に入ってさらに数字はずっと右肩下がりに悪化、2019年10月の消費税増税でさらに落ち込み、悪いながらも少し持ち直す兆しが見えたところで、今回のウイルスショックで急激に悪化したと言えます。
4月の「景気ウォッチャー調査」はさらに厳しい結果になる
さらに、2020年3月の「景気ウォッチャー調査」の数字を図表2で詳しく見ていきましょう。
全体の景況感を表す「合計」は先ほど話したように「14.2」と非常に低いのですが、「家計動向関連」分野の<飲食関連>はなんと「0.7」まで落ちています。ほとんどの人が悪化といっているのです。2020年1月が「39.8」だったことを考えるとまさに急降下です。
そこまで厳しくはなくても、<小売関連>も前月よりも10ポイント強低い「16.0」まで悪化、<サービス関連>は19ポイント弱落ちて「7.4」という惨憺たる状況となっています。
一方、同調査の「企業動向関連」分野はどうでしょうか。こちらも<製造業><非製造業>もが軒並み大きく景況感を落としているのがお分かりになると思います。さらには「雇用関連」分野も急落しています。
少し怖くなるのは、「3月分」の調査を始めたのが3月25日だという点です。ちょうどコロナウイルスの感染者が東京都内で40人を超え、ちまたに「オーバーシュート」(感染爆発)といった言葉が出回り始めた時期です。その後、緊急事態宣言が4月7日に出され、さらに不要不急の外出自粛の要請が強まり、それに同意する国民が増えていきました。
それはウイルス封じ込めに必要な対策である半面、経済面では大きなダメージを負うことになります。5月の連休明けまでこの状態が続くとなると、4月の「景気ウォッチャー調査」では、さらに厳しい内容となることが確実になると予想されます。