東京がロックダウンされたら、私たちの生活はどうなるのだろうか。ニューヨークに隣接するニュージャージー州に在住の小西一禎さんは「感染爆発が懸念される日本で今起きていることは、こちらの2週間前の出来事ではないか」と指摘する――。

会話好きの米国人から笑顔が消えた

不要不急の外出が禁じられてから、約10日が経過した米国・東部のニューヨーク(NY)、隣接のニュージャージー(NJ)両州エリア。全世界で最多となった米国の感染者数のうち、トップのNY、2位のNJとも感染者数は指数関数的に激増しており、事態は一段と深刻さを増している。マスクやハンドサニタイザーなどを除き、物資の買いだめは一段落したが、会話好き、冗談好きの米国人が淡々と買い物を済ませている。まったく見通しがつかない状況を踏まえ、じわじわと市民生活に影を落とし始めてきたとの印象を受ける。

スーパーの床に貼られた6フィートを知らせるテープ。
スーパーの床に貼られた6フィートを知らせるテープ。

「面白い写真撮ってるね。コメディみたいだ。オレも撮ろう」。NJにある量販店の棚一面から、トイレットペーパーやティッシュが一切なくなった写真を撮影していた私に、同世代の男性が冗談を飛ばしてきたのは、ほんの2週間前のこと。別れ際こそ「Take care(気を付けて)」と交わしたものの、しばらく楽しい会話で盛り上がった。

当時はまだ、店内のそこかしこで客同士の会話があり、客と店員の会話があり、店員同士も笑顔を浮かべながら大声で話していた。それが、できる限りの自宅待機を求める「外出禁止令」が出されてからは、人懐っこいはずの米国人がどことなくよそよそしい。客からも、店員からも、歩いている人からも笑顔と会話が消え、どこに行ってもピリピリした雰囲気を感じ取るのは、アジア系住民の私だけではないはずだ。