必ず域内のハザードマップを確認してほしい
「埼玉の幸手や、千葉県の我孫子は標高が低く、利根川の氾濫時は大きな被害をもたらします。19年の台風発生時には液状化現象も起きた場所。もしマンションを買うならば、必ず域内のハザードマップを確認してほしいです」
最後に、実際に水害が発生した場合、住民にはどれほどの被害額が発生するのか聞いてみた。
「分譲マンションの場合、毎月の修繕積立費から補填するのですが、被害が発生した場合、それがかさむ可能性があります。また、数あるマンションの保険の中で、内水氾濫を想定している保険契約書はありません。先述した武蔵小杉のマンションは、デベロッパーではなく、住民にそのコストの支払いを負担させています」
長嶋氏曰く、自然災害によってマンションの修繕が必要になった場合、管理会社がよっぽどの管理注意義務を怠っていたのではない限り、住民がすべての負担を背負うのだという。
そもそも、同じ域内のマンションでも修繕積立金を潤沢に集めていたマンションと、そうでないマンションとで被害後に大きな格差が起きている。
「マンションを買う際は、予定地のハザードマップや古地図を確認することに加え、管理組合の修繕積立費についても確認してください」
住んだら最後、責任を負うのは住民。高所から景色を見下ろしたい欲望の代償はあまりにも大きいのだ。