では、この採用担当者の感覚には、どこまで一般性があるのだろうか。それを確かめるため、上場企業に勤めるビジネスマン4371人に「一流大学、二流大学、三流大学のボーダーラインは?」をたずねるアンケート調査を実施した。
詳細はグラフを参照していただくとして、調査結果のおおまかな傾向を追ってみよう。
まず「一流と二流の境界線」。名前が挙がっている大学までが一流である。つまり「東京大学」と答えた3.32%の人は「一流大学は東大だけ。それ以下はみな二流大学」と考えているわけである。
さて、ぱっと見てまず気がつくのは「偏差値55」というラインだ。それ以上の大学には回答にバラつきがあるが、それ未満の大学を一流の範疇に入れた人はほとんどゼロに近い。
この調査でいうところの偏差値55には成城大学、西南学院大学、成蹊大学、東京理科大学、横浜国立大学などが含まれる。要はここまでが上場企業の社員にとって、「いちばん甘く考えた場合の一流大学」ということで、安倍首相は母校のランク同様に政権運営もギリギリのエッジに立っていたわけだ。
もっとも回答が多かったのは、九州大学、同志社大学、東北大学、北海道大学、神戸大学、中央大学などが含まれる偏差値60のライン。次いで大阪大学、早稲田大学などが含まれる偏差値63のライン。このあたりを上場企業社員の総意と見ていいだろう。
次に「二流と三流の境界線」だが、こちらは回答が偏差値55をピークに山型に分布している。なかには「東大ですら二流である」と回答した豪の者もいれば、偏差値40未満の大学を二流の枠内に含める心優しい回答者もいるが、やはり分水嶺は偏差値55ラインと考えるべきかもしれない。