取り締まりを強めるほど裏に潜っていき、進化していく
神戸山口組が壊滅すれば、神戸を批判して出た任侠山口組は古巣へ戻るのではないか。
だが、この抗争を決着させるために残された時間は少ない。なぜなら、2020年早々にもこの2団体が「特定抗争指定」を受けることが決まっているからである。
アサヒ芸能(1/2・9号)はこう報じている。
「特定抗争指定とは暴対法の規定で組織に最大の規制をかけるもの。激突を繰り返す両組織に対して、ヤクザとしての活動を封じて抗争を鎮圧するという寸法だ。まず、各都道府県公安委員会が、両組織の勢力範囲に『警戒区域』を設ける。その区域にある組事務所は使用を封じられるどころか、区域内で組員が5人以上集まることさえ禁じられる」
違反すれば逮捕もある。高山若頭は持病を抱えているという情報もあるから、分裂を終結させるためには手段を選ばないようだ。
今の流れは六代目山口組が神戸山口組を圧倒しているようだが、警察側には高山若頭を別件で逮捕しようという動きもあるそうだし、追い詰められた神戸山口組が起死回生の反撃に出れば、組員だけではなく、一般市民が巻き込まれてケガをする恐れもある。
だいぶ前にMSN産経ニュース(2011年10月1日)で司組長へのインタビューが掲載された。そこで司組長は暴排条例施行について、こういっている。
「山口組というのは窮地に立てば立つほどさらに進化してきた。昭和39年のときもわれわれの業界は終わりだといわれていた。ところがそれから1万人、2万人と増えた。弾圧といえば語弊があるが、厳しい取り締まりになればなるほど、裏に潜っていき、進化していく方法を知っている」
暴排条例はヤクザの人権を抑圧している、憲法違反だという声もある。司組長のいう通り、ヤクザを追い詰めれば裏に潜り、より悪事に走るだろう。必要悪とまではいわないが、彼らが暮らしていける環境を整えてやらないと、この問題は解決しないと思う。(文中敬称略)