吉祥寺から元気発信してます

「商店街ならば、道の邪魔にならないことは大原則です。実は、ビラ配りはその日にもらっていただけなくても、毎日同じ場所に立ち続けることで、『君、いつもいるよね』とある日声をかけられて手に取っていただけるケースが少なくないんです。顔を覚えてもらう意味でも、通路の邪魔にならず、街の風景に溶け込むのは重要です。また、ビラを配るときに地名を入れて自己紹介するのも記憶に残らせるコツです。『新宿のマスコットガールです!』『吉祥寺から元気発信してます!』など、セリフはなんでも構いません。

もちろん、ビラを配る場所や時間が違えば、テンションも変えます。21時台ならば、飲んだ帰りのサラリーマンが多いですよね。そういう場所では少し明るめに話しかけます。『だーれだ?』と笑顔で話しかけて、自分がどこから来たのか、どこに所属しているのか自己紹介をしたうえでビラを渡すと、ノリノリで受け取ってくださる方が多いです」

2つ目は「必ず会話をする」。

「大学生向けに開かれる就活セミナーのビラ配りをしたことがありますが、早稲田大学の前で、3日間ビラ配りしただけで100人の参加者を集めることができました。このときの成功のコツはとにかく会話を続けたこと。ビラを受け取った方が明らかに学生さんでも、『早稲田の学生さんですか?』と声をかけます。相手からの『はい』を引き出せば、会話が成立しますよね。

次に、『五反田ってご存じですか?』と続けます。『知っています』と言われたら、チケットを見せながら五反田でセミナーがあることを話します。一方的な説明をせずに、『10月19日ってなにしてますか?』と質問して相手のスケジュールを聞いていきます。ビラを手に取ってもらった時点で“ノルマ”が終わったと思う方が多いですが、これが一番ダメ。相手のYESの意思を引き出すまでがビラ配りです」

ここで、山田氏は「当日来られる」という人だけにビラを配るという。来られないという人には、LINE@やツイッターをフォローしてもらい、見込み客になってもらう作戦だ。

3つ目は「絶対に『ありがとう』と『いまお時間いいですか?』『もしよかったら……』を言わない」。

「これらはビラを配るときの常套句ですが、こちらが配っているビラの中身はお客様が絶対に満足していただける店舗やセミナーなんです。ならば過剰に下手に出る必要はありません。お得に利用できる“プレゼント”を配っているという意識を持つのです。逆にビラを受け取った相手が『話を聞いてあげた』という意識になってしまっては、こちらの優先順位は落ちてしまいます」

山田氏いわく、ビラ配りは「客の感触を直接確かめながら集客を確約できるベストな手段」。デジタル全盛のこの時代でも、逆転の発想で超アナログでも勝てる戦略はあるようだ。

山田直美
1973年、京都生まれ。教材販売会社のトップセールスレディを経て、NYに留学後、2003年、1人で居酒屋を開業。ビラ配りだけで1年間に5000人の集客に成功。現在はビラ配りプロとして企業や店舗のビラ配り支援、コンサルティングを行う。
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