社会に何かを還元する意義

慈善活動やボランティアを人生の目標のひとつにする人はたくさんいる。あなたはもしかしたら、すでにそういった活動に関わっているかもしれない。高校などでボランティア活動が課題に入っていたという人もいるだろう。大学でも、地元の恵まれない人のために働くボランティア活動を学生に紹介しているところがある。

被災地での救援活動、献血などのために缶詰食品を集める、炊き出しに参加する、ホームレスのシェルターで働く、老人ホームの慰問など、自分の力を社会に還元する方法や、恵まれない人たちを助ける方法はたくさんある。そして、与えることができるのは、自分の時間や労力だけではない。お金を差し出すのも立派な慈善活動だ。

社会に還元することはなぜ必要なのか。慈善活動や寄付の大きな利点のひとつは、いい気分になれることだ。他人を助けるのはとても満足感の大きい行為であり、自分が誰かの役に立っていると感じることができる。

この本を読んでいる若い人たちなら、おそらくお金よりも、時間やエネルギーのほうがたくさんあるだろう。そのため当面のところは、お金を寄付することよりも、体を動かす慈善活動になるかもしれない。

それでも、少額でもかまわないので、赤十字などの困っている人や恵まれない人を助ける団体に、若いうちから寄付をする習慣を身につけておいてもらいたい。年齢を重ねて収入が増えれば、寄付金の額を増やし、人々の人生にさらに大きな影響を与えることができる。慈善活動は人のためになれるということ、それ自体が見返りだ。

バランスのとれた人生を送るために

お金がないとたしかに大変だ。とはいえ、お金が中心の人生を送るのも間違っている。

アンドリュー・O・スミス『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(SBクリエイティブ)

今から100年前、アメリカ人の大部分は、現代の貧困ラインより下の暮らしをしていた。それに、水洗トイレや冷蔵庫といった便利なものも存在しなかった。生活はきつかったが、それでも人々は家族の絆に守られ、友人やご近所のコミュニティに参加し、意義深く充実した人生を送っていた。個人を超えた、より崇高なものを信じていたのだ。

私がこの本を書いたのは、あなたがお金と賢くつきあい、たくさんの人生の目標を達成する手助けをするためだ。とはいえ、本当に大切なのは喜びと幸せに満ちた意義深い人生を送ることであり、お金はその手段でしかない。

お金はたしかに大切だが、他のすべてを犠牲にしてまで追い求めるのは間違っている。

経済基盤がしっかりしていれば、いい人生を送る足がかりになるだろう。しかし、お金は手段であって目的ではないということは、絶対に忘れないでもらいたい。

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