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図2:会社が非協力的でも労災認定を得るには

ただし、認定されるには精神疾患が業務に起因することを証明する必要がある。労災保険の給付手続きは、労働者本人または遺族が労基署に申請し、申請後、担当の監督官が労働者・遺族・使用者・同僚などの関係者から事情を聞いて認定の可否を判断する。その際、会社側が事実を認めるなど協力的であれば認定されやすいが、現実には仕事の関連で発症した疑いが相当程度ある場合でも、事実を隠蔽し、業務外で発症したと主張する会社が多いのが実態だ。

認定されるためには、できるだけ事実を証明する証拠を揃えておくことだ。第一に、うつかなと思ったら精神科や心療内科を受診し、経緯をきちんと説明する。医師のカルテは有力な証拠となる。そして自ら事実を手帳などに記録しておく。サービス残業を含めた日々の労働時間をはじめ、出社・退社の時刻や仕事の内容などをメモで残す。また、労働時間に関しては、パソコンの使用時間や取引先とのメールのやりとりの時刻など電磁的記録は証拠価値が高い。

ハラスメントを受けた場合は、メモに残すだけでなく、できれば信頼できる友人や同僚に話をすることだ。いざというときに証言してくれる可能性もある。

現在、総申請数の約20~30%が認定されているが、仮に認定を受けられなくても、行政訴訟での労災認定を求めて裁判に訴える方法もある。実際に5割の確率で原告が勝利しており、そのためにも証拠を残しておくことが重要だ。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=溝上憲文)