再就職・再雇用されるシニア人材の「条件」
国内では、労働人口の減少により、人手不足の業種や業態が出ているにもかかわらず、いまだに高齢者の再就職は簡単でないことがうかがえます。健康面への不安などから高齢者の雇用に消極的にならざるを得ない状況もあると想像します。
しかし、採用する企業側が、業務内容を上手に切り分けするなどして工夫すれば、時間や体力に制約のある高齢者でも活躍できる余地はあると考えます。活躍できる高齢者を増やすことは、企業にとって人手の確保につながるだけでなく、若手の長時間労働の削減や休暇の取得率向上など副次的な効果も期待できるはずです。
3.再就職できる高齢者は何が違うのか
メイテックの2017年と2019年の調査では、現在働いているシニアに、どのように今の仕事を見つけたのかを尋ねています。
2017年では、「自分で起業をした」(30.0%)が最も多く、「取引先・仕事仲間・知人などが紹介してくれた」(14.5%)、「以前からの勤務先で定年を迎えたが、退職した後に再雇用された」(13.0%)と続きます。
2019年時点では、「取引先・仕事仲間・知人などが紹介してくれた」(16.4%)、「自分で起業をした」(15.5%)が逆転しており、「以前からの勤務先が定年延長をしてくれた」(11.6%)と続きます。
制度整備の効果か、起業が減り、取引先などから紹介や継続雇用で就職する人が増えていることが見て取れます。
2017年の調査では、「65歳以上になっても働けている理由(再就職及び再雇用いずれも含む)」も尋ねています。それによると、「自分の専門的な能力・スキルが求められているから」(36.5%)が最も多く、「自分のこれまでに残した実績が評価されているから」(30.5%)、「自分の健康面に不安がないから」(26.5%)と続きます。
自由記述でも、やはり「専門性に対する評価」を理由に挙げる声が多く聞かれました。
「過去の経験と人脈が活かせており、今の会社に貢献できているため」
「専門性の強い職種職場だから、非常勤として引き続き以前の業務を継続して担当。これまでの実績や対人関係をすっぱり切るのではなく、余韻を残しておいたほうが良いと思ったため」
「自分の技量が活かせる職種にした。家電製品の販売に関わる第二種電気工事士免許者としての電気工事、エアコン取り付け工事、テレビアンテナ工事などの需要はかなりあります」
「過去に得たスキルが活用できる。教育の場なので、仕事に対する情熱、責任感、知的刺激などを感じることができ精神的に充実できる。若い人と接するので活性化する」