大事なところだけは流されない強い意志

しかし、その与えられたアイドルという“他人の決めた天職”に対して、ちゃんと向き合った上で、自分の本当の夢への努力も怠りませんでした。そこに、結成8年での嵐の大ブレイクという、予期せぬ出来事が重なり、結果“本当の夢”の実現に至ります。

霜田明寛『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)

おそらく大野には“努力”はおろか“準備”という意識すらなかったことでしょう。他人が振り返れば、アートに費やしていた時間は準備にも感じられますが、「好きなことを必死にやっていた時間」が多く積み重なっていったという感覚のほうが近いかもしれません。それは決して“下積み”といった重いイメージではなく、“好きなことを必死にやっていた時間”が積み重なり、夢が実現したとき、結果的にそれまでの時間は“夢のための準備”と呼ぶことができるようになるというイメージ。

そうして“本当の夢”を達成したあとに得られるのは“本当の自由”。嵐の活動休止に際して、大野は「3年休むとか許されないと思ってた」と退所を覚悟しての進言だったようですが、結果、周囲の好意的な尽力もあり「やめる」ではなく「休む」ことになりました。

アイドルという、様々な事情にがんじがらめになっているように見える立場の人ですら、与えられた仕事で成果を出し続けた人には、自分のしたい仕事ができたり、休む意志が通ったりという“本当の自由”がやってきます。

大きくは流されながらも、大事なところは流されない強い意志を持つ。

そのバランスで大野は「ジャニーズって大変そう」と思っていた少年から「嵐でよかった」と心から思える大人になったのです。

大野智もこう言っています。

「頑張った分だけ自由自在になれる(※4)」と。

(註)
※1:「週刊SPA!」2010年8月17・24日合併号
※2:嵐『アラシゴト』(2005年7月、集英社)
※3:大野智『Freestyle』(2008年2月、M.Co.)
※4:「TVガイドAlpha EPISODE F」(2017年8月)

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