営業マンの数は2000年468万人→15年336万人

企業の中で商品(不動産・金融・保険商品を含む)の販売を担当する営業職(営業マン、セールスマンなどとも呼ばれる職種)は、1975年までの高度成長期にも企業社会の成長とともに大きく増加したが、70年代後半以降、「作れば売れる」時代から「積極的な売り込み」の時代に変化したこともあって、職種として花形職業となり人数も大きく増加した。

特に80年代には230万人から400万人へと74%増となった。この時期の営業職の増加率は高度成長期をむしろ上回っていたのである。

ところが、バブル経済が最終的に崩壊したのち、2000年の468万人をピークに今度はかなり急速な減少に転じた。営業職という分類名が国勢調査上に正式に認められるようになったのは皮肉なことに減少が目立つようになった10年のことである。そして、15年にはバブル期以前の水準の336万人にまで減った。

「セールスマンの死」を想起させる状況が訪れた

企業を対象に労働力の不足と過剰を調べている労働経済動向調査(厚生労働省)で販売職へのニーズが、近年どのように推移してきているかをフォローすると、かつて一般労働者と比べて需要が大きく、特に不況期にも手堅かった販売職へのニーズは徐々に衰え、2015年頃からは、一般の労働者へのニーズと変わりがなくなったことがわかる。

営業の時代は終焉しゅうえんに向かい、作家アーサー・ミラーの有名な戯曲のタイトル「セールスマンの死」を想起させる状況となっているのである。

営業職の減少には、一般的には、日本の流通構造の特徴とされていた多重的な卸売構造が整理され、全国チェーン店の普及などによる流通革新・合理化が進んだことが影響していると考えられる。

しかし、それとともに注目されるのが、営業職に代わって、販売職ではなく事務職に区分される営業・販売事務職が、人数的には及ばないものの大きく伸びてきている点である。