研修先企業の「社員のツイッター」までチェックした

こういったテストやヒアリングを通して、説明を始める前の段階で聴き手の理解度などをできるだけつかんでおくのです。

もちろん、説明の前に聴き手と接点をもつことができず、参加者の情報がほとんど手に入らない場合もあります。

以前、知人の紹介でベンチャー企業の営業職向けに研修を行ったときの話です。そのときの研修テーマは「説明のスキルアップ」でした。

小規模なベンチャー企業なのですが、その会社には人事部門がなく、かつ社員のみなさんが超多忙で、営業の方々は外回りをしていることがほとんどでした。

そのため、研修前に事前アンケートを実施することができませんでした。そこで私が行ったのが、ホームページ検索です。ここを隅から隅まで眺めます。さらに、会社の広報活動の一環として、社員のみなさんもツイッターとインスタグラムをやっていることがわかったので、そのつぶやきや投稿内容を見て、説明スキルのレベルや課題などをチェックしました。

推測の域を出なくもかまいません。研修内容に直接、関係なさそうに思えるツイッターやインスタグラムなどのSNSを事前に見ておき、いろいろな情報を入手して、推測の精度をできるだけ上げるのです。

聴き手に「どう変わってほしい」のか

視点2は、「説明することで聴き手にどうなってもらいたいか」という聴き手の到達点を決めることです。このステップでは、聴き手に自分の話を聴かせた結果、ネタを聴き手のどこまで到達させればいいのかというゴールを考えるのです。

ここで大切なことは、自分が「何を話したいか?」ではなく、聴き手に「どう変わってほしいか?」を、まず明確にするということです。そこから逆算することで、「どう話すべきか?」が浮き彫りになってきます。

まず、具体的に探るべきこととしては、「聴き手の欲求」です。たとえば、予備校の聴き手である生徒のもつ欲求は、もっぱら「自分もマスターしたい!」です。予備校の授業は、聴き手である生徒が最終的に学習内容をマスターできることで、初めて満足度が高まります。もちろん、聴き手の欲求が、「まずは興味・関心をもてるようになれればOK」という場合もあります。

なお、聴き手の欲求が聴き手にとっての最大のメリットなのか——という点は、話し手が冷静に見極めなければならないポイントです。「聴き手の欲求」と「聴き手のメリットが最大化すること」が合致していないことを見極めて説明ができる人こそが、本当に優れた話し手だと思うのです。