自治体によって取り組みに差がある
その理由(複数回答)としては、「判明まで(虐待の相談を受けるなど)行政の関与がなかった」(26自治体)、「警察や病院など関係機関から情報が得られない」(7自治体)などの回答が目立った。一方で、神奈川県や長野県、大分県などは、虐待が判明するまで行政の関与がなかった事案も、医療機関などから情報を得て検証を行っており、取り組みに差が見られた。
検証率向上のため国に求める対策(複数回答)としては、「警察などから情報を得る仕組み作り」(36自治体)、「検証を行うための人手・予算の確保」(32自治体)などが挙がった。
死亡事例の検証に数多く携わる奥山眞紀子・国立成育医療研究センターこころの診療部長は、「検証率5割は低すぎる。亡くなった子どもの死を無駄にしないためには、自治体がなぜ関与できなかったのかを含め真摯に検証することが重要だ」と指摘している。
結愛ちゃんも一時保護をされていた
ほんとうにもうおなじことはしません ゆるして きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことをなおす
これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいだから やめるから もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいやくそくします あしたのあさはぜったいにやるんだとおもって いっしょうけんめいやるぞ〉
平仮名ばかりのノートには、両親に許しを請う言葉がつづられていた。
書いたのは、2018年3月、東京都目黒区で両親から虐待を受けた末に亡くなった船戸結愛ちゃん(当時5歳)。その年齢とは不釣り合いな少し大人びた印象を与える言葉が、まだ幼い結愛ちゃんが抱えた苦しみの大きさを物語り、社会に大きな衝撃を与えた。
十分な食事を与えられず、低栄養状態で引き起こされた肺炎による敗血症で亡くなった結愛ちゃんもまた、以前に住んでいた香川県で児相に一時保護され、自宅に戻った後に東京に転居して、被害に遭った。