「もう明日やるよ。すごくやるよ」と三回唱えてから寝る
脈絡なく切り取れば幼児虐待に見えるかも……。でも全体を読んでそう感じる人はいないだろう。お子さんたちへの愛情が文章から、絵からにじみ出ているからだ。表現の大切さを改めて思う。若いご夫婦が読めば、子どもを持つのって悪くないかもと感じるだろう。それは無神経な政治家から「一人3人は産んでください」と言われるよりはるかに説得力があるはずだ。
「ききうでのツメは切りにくい」(近すぎるから出来ないってことがたくさんある)。「あなたのおかげで、私はとうとうあなたが必要なくなりました」(昔影響を受けた作品に対する感謝と別れ)。うーん、私が下手につまむと原文の面白さがいま一つ出ない。ダイレクトな引用で終わろう。
「もう明日やるよ。すごくやるよ。っていう言葉を三回唱えてから寝るわけです。明日すごいよ。明日すごいやるからね、っていう。でも、今日はもう、寝るけどね、ていう。自分を甘やかす時に、とっても便利な言葉です。明日やるよ、だけじゃダメなんですね。すごくやるよ、そこに含みを持たせることが、よりこう今の自分を楽にするキーワードなんです」
東京工芸大学教授
1963年生まれ。一橋大学社会学部卒業後、ロンドン大学インペリアル校経営大学院修了。NTT勤務等を経て、2012年より現職。弟・大島新氏との共著に『君たちはなぜ、怒らないのか―父・大島渚と50の言葉―』。