監視大国ニッポンは警察国家ニッポンへの回帰だ
ITの発達で企業が膨大な顧客情報という「ビッグデータ」を集めることができるようになったため、われわれのプライバシーは真っ裸にされているのだ。
さらに共謀罪ができ、こいつは怪しいと見れば盗聴や尾行ができる。その上、われわれがケチなポイントが欲しくて売り渡している個人情報を、検察や警察は令状なしに手に入れられるのである。プライバシーよりも安心・安全を優先させたために、日本の辞書からもプライバシーという言葉が消える時代が遠からず来ることは間違いない。
監視大国ニッポンは警察国家ニッポンへの回帰であり、このままいけば戦前よりもっと厳重に監視・管理され、個人のプライバシーなどぼろ雑巾のように扱われるに違いない。
令和という年がそうならないように願うが、残念ながら、この流れを止めるのは難しいと思わざるを得ない。(文中敬称略)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)などがある。