「個人情報の塊」を無断で提供してきたTポイント

CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)という企業がある。Tポイントカードを展開し、会員数は6788万人(昨年9月時点)だという。ポイントカード事業では最大手だ。

レンタルショップ、コンビニ、飲食店、ドラッグストアなど、あらゆるところでモノを購入するとポイントが付く。

ここは捜査当局にとって非常に有用だったそうである。ある事件の容疑者が、同じ時間帯に特定のコンビニへ来て買い物をすることが、Tポイントカードからわかり、防犯カメラの映像で本人だと確認し、待ち伏せて身柄を拘束できたという。

このCCCの「T会員規約」には、当局に対する情報提供についてどこにも明記されていなかった。したがって、捜査当局から求められれば、個人情報の塊を無断で外部に提供し続けてきたのだろう。呆れてしまう。

なおCCCは共同が報じた後、「個人情報保護方針を改訂いたしました」というニュースリリースを出している。

「国と対立してまで顧客の個人情報を保護する意識がない」

携帯電話会社は、GPS機能を使えば、その人物がある時間にどこにいたかがわかる。位置情報は高度なプライバシー情報であるが、大手3社は「令状が必要」とリストに明記されているという。

だが、オンラインゲーム会社3社は、位置情報が取得可能だが、令状が必要とは記載されていない。

ある検察関係者は共同の記者に、「企業は国と対立してまで顧客の個人情報を保護する意識がない。当局となれ合い、情報を渡す」といい切ったそうである。

「この捜査官の言い分に、捜査関係事項照会で情報提供を頻繁に求められた経験のある人物は反発する。取材に『あるとき、なぜこの情報が必要なのか疑問に思ったことがあった。それで回答を拒んだら、捜査官に<そんなことを言うのはおたくだけだ>とすごまれた』という」(『世界』6月号より)

この捜査関係事項照会は、EUでも問題視されているという。なぜなら、日本の企業がEU市民の個人情報を取得すれば、裁判所の令状なしに日本の捜査機関に提供されてしまうからだ。

これに対して、日本政府は必至に弁明し、文書で「国民の意識の高まりを背景に、回答がより慎重になされる傾向が顕著」「警察は国家公安委員会や各都道府県公安委員会の監督を受けている」などと実情と違う説明をしているという。