むしろ野党共闘を遠のかせてしまっている
全体の野党結集に向けての動きが遠回りになるという副作用も生んでしまった。バラバラの野党が少しでも結集しなければならないから、まず合併できるところから一緒になるという理屈は、一見もっともらしい。しかし今回の合併話の出発点は、国民民主党と立憲民主党による野党の主導権争いだった。「野党第1党」を目指し、少しでも多くの議員数を確保しようとして国民・自由は結集に動いた。
当然ながら立憲民主党などは不信感を募らせている。合併決定を受けて立憲民主党の枝野幸男代表は、26日の記者会見で「他党のことはコメントする立場にない。立憲民主党は離合集散、他党との合併を行わない。昨日の党首会談でも小沢代表に伝えている」と語った。決別宣言のようにも聞こえる。
この思いは社民党や旧民主党系の議員たちも同じ。社民党党首の又市征治氏は「私自身は、そのことによって何かプラス面が出てくるのかなあと懸念をします」。衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の野田佳彦元首相に至っては「もう動いたことを今更どうこう言ってもしかたない」と投げやりな表情で語った。
「小玉」民主党と、その他の野党の間には、確実にすきま風が吹いている。
本当にメリットがデメリットを上回るのか
今、永田町では衆院解散風が吹き始めている。その危機感が「小玉」民主党をつくりあげるきっかけになったのは事実だ。今後、加速度的に野党結集が進んでいけば、今度は与党側が焦る番となる。安倍晋三首相が衆院解散を見送る決断をすることになるかもしれない。
しかし現状では、安倍氏は「小玉」民主党の誕生後の野党の混乱を予見してほくそ笑んでいることだろう。
25日深夜から未明にかけて行われた国民民主党内の会合で、合併に反対する階氏は何度も「本当に合流によるメリットがデメリットよりも上回るのか。それをきちんと説明してほしい」と執行部に尋ねたという。結果として明確な回答のないまま合併が決まったのだが、何カ月か先、「小玉」民主党の幹部たちは、階氏の問い掛けをかみしめることになるのではないか。