搾取から投資へ脅威ではなく礼賛へ


今年1月、ベトナムでASEAN(東南アジア諸国連合)外相会議が開催された。(AP Images=写真)

新興国がいつまでも伸びるわけがない、と考える企業人もいる。しかし、新興国の平均年齢は大体が20代後半。平均年齢が30代後半になるまで、つまりあと10年以上は間違いなく伸び続ける。

また、かつてはブラジルにしてもアルゼンチンにしても、先進国の援助で一時的に経済が上向くものの、まもなく反落して、デフォルト(債務不履行)を繰り返してきた。ところが最近は南北問題が影をひそめて、一本調子の経済成長が続いている。

なぜか?

理由は2つある。一つは米証券会社のゴールドマン・サックスが、経済的ポテンシャルの高い新興国グループをBRICsという造語でカテゴライズしたことだ。

BRICsの先頭を走っているのは中国だが、中国があそこまでいけるなら自分たちもとインドが頑張り、中国とインドだけにいい思いはさせられないとばかりにロシアもシェイプアップに取り組むようになった。せっかく仲間に入れてもらったのだからと、はるか南のブラジルまで引っ張られて成長軌道に乗った。

1980年代の初頭から一時期、NICs(新興工業国)やセブンタイガーズと言われた時代のアジアは、日本を先頭に雁行型に経済成長していたが、今は中国を筆頭にした新しい雁行モデルが形成されている。20年前には世界最貧国の一つだった中国の成功事例は、BRICsに続く新興国にとっても励みになっているのだ。