「自分も炎上するかも」とは思わない

大学1、2年生に話を聞くと、社会ニュースに一切興味がない学生が多いことを感じる。彼らが社会ニュースに興味をもつのは、3年生になり就職活動を始める時期になってからだ。

SNSやニュースアプリ経由で興味があるニュースのみ読むという学生は、非常に多い。興味があるタイトルだけを読むため、バイトテロ問題がどれだけ話題となっていても当人たちには届いていない。だからこそ、「自分も炎上するかも」と思わず、不適切投稿をしてしまう学生が後を絶たないのだ。

停学、退学、内定取り消しにつながることもある

バイトテロで企業側が受ける被害は甚大だ。CMを打つなどして築いてきたイメージが崩れる。マイナスイメージは業績悪化などにつながりかねない。株価の下落だけでなく、店舗閉鎖などにつながることもあるのだ。

一方のアルバイトも、学生であれば停学や退学、内定取り消しなどにつながることは多い。投稿内容によっては賠償請求や書類送検をされる可能性もある。少なくとも、炎上すると個人情報が永遠にさらされることになる。一度の投稿で人生を棒に振るかもしれないのだ。

アルバイトを訴えたり罰則を用意したりしても、投稿されてしまった以上、企業がマイナスの影響を被ることに変わりないので、あまり意味はない。企業や店舗側は、バイトを含むすべての従業員に対してSNSの適切な使い方と、炎上の恐ろしさを研修する機会を設けよう。すでに社員向け研修会を行っている企業は少なくないようだ。ソーシャルメディアポリシーを用意し、投稿してはいけない内容は明確にし、定期的に研修をしておくと安心だ。

いくら報じられていても、若者たちはバイトテロの危険性を知らない可能性が高い。保護者は周囲の若者たちに、このような投稿のリスクについて正しく伝えていただければ幸いだ。

高橋暁子(たかはし・あきこ)
ITジャーナリスト
情報リテラシーアドバイザー、元小学校教員。書籍、雑誌、webメディアなどの記事の執筆、コンサルタント、講演などを手がける。著書に『ソーシャルメディア中毒』『できるゼロからはじめるLINE超入門』ほか多数。『あさイチ』『クローズアップ現代+』などテレビ出演多数。
(写真=iStock.com)
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