現地スーパーで食材を買って料理

【原田】「写真を撮る」「チル」以外に旅先ですることは?

【小野里】ご飯を食べて、写真を撮りながら歩いて……。

【牧之段】友達と料理を作ることもあります。エアビー(民泊サイトのAirbnb/エアビーアンドビー)だとキッチン付きの部屋が人気なんですよ。そこで友達と料理を作ると家族感が出て、一体感が強まりますからね。前に見たことがあるんですけど、女子ふたりがヨーロッパ旅でアパートを借りて、現地のスーパーで食材を買って料理しているのをストーリーに上げていました。単なる観光じゃなくて、現地の生活になじもうとしてるよ、という感じが他の人との差別化になるんです。

【原田】「食べる」の一歩先、「作る」だ。しかし、君らは常に周りにアピールし続けなくちゃいけなくて、本当に大変だね。

「若者と旅」座談会に参加した大学生たち。(撮影=プレジデントオンライン編集部)

【牧之段】海外製のビールと海外製のポテトチップスを買って、海外の人たちの「日常」を自分たちが体験している感じで、陶酔感に浸れるんです。

【原田】それも一種のチルなんだろう。インバウンドで日本に来る海外の人が、ホテルじゃなくて昔ながらの民家に泊まりたがるのと似ているのかもね。

女子2人のヨーロッパ旅行で、料理を手作りする様子。(写真提供=「若者と旅」座談会メンバー)

【浅見】私は海外も国内も、パワースポットによく行きます。神戸に行った時には、恋愛成就で有名な生田神社の水みくじをやりました。水に浸すと文字が浮かび上がってくるものです。神社でパワスポって言うと、御朱印を集めている女性が結構いるらしいですけど、そういうのじゃない。

生田神社の水みくじ。境内の池におみくじを浸すと、運勢が浮き上がる仕組み。((写真提供=「若者と旅」座談会メンバー))

【原田】御朱印女子は今でもいるよ。ハマっているのは君たちよりもうちょっと年上の中年女性が中心なのかな。

【浅見】海外のパワスポだと、イスラム圏のモスクが思い出に残っています。モスクではかぶりものをしなければいけないんですけど、そういう、ただ見るだけじゃない体験型の旅行はいいですね。

ボウリングは「どこでもできるから、やらない」

【原田】「かぶりものをする」というのは、超非日常な体験ではないけど、絶対写真を撮るし、要は映える前提の体験ということなんだろうね。ちなみに、昔のおじさんたちは、国内の旅先でカラオケとか卓球、温泉街のボウリングに行っていたんだけど、そういうのはするの?

【牧之段】カラオケですか……。車で行く時に移動中の車中でスマホで曲流して皆で歌うことはありますけど……。

【小野里】卓球は温泉っぽい気持ちになり、盛り上がるのでやりますけど、ボウリングは……。どこでもできることは、やらないです(笑)。

【原田】お土産は買う?

【小野里】とりあえず、歴史上の人物のイラストがパッケージに印刷されてるような食べ物は買わないです(笑)。純粋においしいものを買いたい。イラストのプリントものは「ネタ枠」かなって思っちゃいます。

【原田】国内の旅先の多くのお菓子はネタって思われちゃうんだね。きちんと各地域が映えて美味しいお土産を作っていかないとね。ご当地プリクラは?

【高貫】もう大学生なので年齢的に撮らないですけど、撮るにしてもご当地プリクラは機械が古いから画質は悪いし、盛れないし、フレームもダサいので、ちょっと……。

【小野里】ご当地プリクラを撮るくらいだったら、駅前の証明写真機にみんなで入って撮りますよ。

【浅見】むしろ顔ハメパネルだったら、サークル旅行の「ネタ」として、インスタのストーリーに載せるかな。電車を待っている間によっぽど時間があれば、ですけど(笑)。(次回に続く)

原田曜平(はらだ・ようへい)
サイバーエージェント次世代生活研究所 所長
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年12月よりサイバーエージェント次世代生活研究所・所長。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『さとり世代』『ヤンキー経済』『これからの中国の話をしよう』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」、日本テレビ「バンキシャ」レギュラーとして出演中。
(構成=稲田豊史)
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