『ナニワ金融道』には言うことなし!

「お金と人生本」という括りの中で私が強く印象に残ったのが『となりの億万長者[新版]』です。億万長者と聞くと、高級車に乗って美味しい物を毎日食べている、といったステレオタイプな想像をしがちですが、そのイメージを覆してくれる本です。むしろお金持ちこそ普通の生活をしていて、逆に生活レベルを上げないことでお金持ちになっている。ということを、多くの取材と細かく具体的な数字を挙げたデータをもとに解説してくれます。この本は、決して億万長者になりたい人が読むものではありません。大きな財を成す人たちがお金に対してどういうスタンスなのかを知る本です。本物の億万長者がどういう生活をしているのか本書を通じて知ると「人の幸せとは何だろうか」と改めて考えさせられ、価値観が変わることでしょう。

最後に、ランクインはしていないものの、私が読者にオススメしたい3冊の本です。

1冊目は『予想どおりに不合理:行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』(ダン・アリエリー・著)で、行動経済学ブームに火をつけたベストセラーです。人間の行動は、完全に合理的ではない、ということは経験則でわかっていても、日頃、FPとしてお客さまからの相談を受けていて、「なんでそんなムダ遣いをしてしまうの?」と不思議に思っていたことが「そうだったのかー!」と腑に落ちた一冊でした。結構、繰り返し読んでいて、読むたびに(自分を含めた)人間がとってしまう不合理な行動について再認識(そして反省……)しています。

次のおすすめは、『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新』(磯田道史・著)です。

FPとして、家計簿というのは、その人の価値観や生きざま、考え、行動パターンなどが色濃く出るものだと考えています。家計簿を見ることで、その時代の人々のモノの考え方がうかがえるとともに、「ああ、時代が変わっても人間が大事にしているものは変わらないのだなあ」と考えさせられました。とくに、時代小説好きな方は必読です。

最後は、『ナニワ金融道』(青木雄二・著)です。本書について、何も言うことはありません。下手なマネー本を読むより、お金に関する生きた知恵が得られますよ!

▼黒田氏が太鼓判! この本が私の人生を変えました
1.『予想通りに不合理
ダン・アリエリー ハヤカワ・ノンフィクション文庫
2.『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新
磯田道史 新潮新書
3.『ナニワ金融道
青木雄二 講談社
(1)FPでも疑問に思う人間の行動の不合理を解説。(2)武士と現代人の家計簿の違いと共通点に驚いた。(3)3お金の生きた知恵が学べます!
黒田尚子(くろだ・なおこ)
ファイナンシャルプランナー
CFP1級FP技能士。株式会社日本総合研究所に勤務後、1998年に独立系FPに転身。著書に『がんとお金の本』『50代からのお金のはなし』など多数。
 
(構成=宮上徳重 撮影=市来朋久 写真=若杉憲司)
関連記事
"勉強・自己啓発本"読者が選ぶベスト10
平均年収が高い"トップ500社"ランキング
月収44万68歳の悩み"暇で暇で死にそう"
年収1000万でも"教育費貧乏な家"の末路
レジ横でバレる「貯められない人」の本性