不動産会社や工務店によっては、月々3000~5000円で空き家の様子を見にいき、管理を代行してくれるサービスもあります。これらを利用するのも、空き家管理の負担を減らす1つの手です。

空き家問題の一番の解決法は、売却すること。できるだけ早い時期に、売れる価格で売る。空き家を所有することになったら、時間との勝負です。先にご説明したように、雨漏りなどなんらかの問題が必ず起きる。ですから、問題が増える前に売ってしまう。その際、空き家を売って儲けようなんて考えてはいけません。そのかわり安くすればどんな田舎でも必ず売れます。

更地にして土地だけを売るべきか、と質問を受けることもありますが、建物は残しておくべきです。空き家を買いたいという人のほとんどは、昭和以前の雰囲気を大事にしていますから、欄間や古い柱などに愛着を感じるもの。同様の理由で、売却前のリフォームもおすすめしません。古い家の中に中途半端に新しい部分があると、レトロな雰囲気を求める人からは敬遠されてしまいます。また、空き家を探している方は自分でリフォームをしたいという方が多い。現在、中古マンションでリノベーションが流行していますが、空き家は「リフォーム済み」が売れる条件ではなくなっています。

中山 聡
わくわく法人rea東海北陸不動産鑑定・建築スタジオ代表
一級建築士・不動産鑑定士。著書に『空き家管理ビジネスがわかる本』(同文舘出版)など。