2019年以降のキャッチコピーは「真の教養」
また、前出の知人ライターは今後、2019年以降の私立中高一貫校が掲げるキャッチコピーの流行予測として、この言葉を挙げている。それは、「真の教養」だ。
「完全版の文言としては『永遠の命題である哲学、科学、文学、芸術について、世界の教養人と伍して語れる真の教養』。これがくると思います」
これについても筆者は完全に同意だ。いかにも言いそうなフレーズである。
先行き不透明な時代の今、「大学受験スキル&養成力」だけではなく、わが子に中高一貫校で得てほしい力、つまり「わが子に中高時代で付けてもらいたい力」を下記に挙げたい。
1 共感力
筆者は不登校や成績不振といった問題を抱える子を持つ親の相談も受けているが、そうした生徒は圧倒的に中2が多い。中2は鬼門なのだ。思春期ど真ん中のこの年齢は「自分がいて、他人がいる」ということが理解しきれず、友人や部活の先輩・後輩などとの摩擦を繰り返しがちだ。
自分の主張が簡単には通らなくなることに気付き、他人が自分とは異なる意見を主張することに戸惑い、合わせるべきか否かで悩む。おまけに他人からどう思われるかが気になりだすので、自我と迎合のはざまで悶えることになるのだ。
この時期を通過することによって、自分がいて、他人がいる、ゆえにそれぞれがいろいろな考え方を持つという「みんな違って、みんな良い」的思考法ができるようになり、さらには、人はひとりで生きているわけではないことに気が付くのである。
この実感を級友、先輩後輩、恩師といった人間関係の中で得ていくことは彼らの今後の人生において大きな財産となるだろう。
2 出来事の本質を見抜く力
「出来事」は、流れゆくものと普遍的なものにわかれる。また、「物事」には、まやかしか真実か、あるいはどちらのカテゴリーにも属さないものも含まれる。それらを見抜く力を養うことで、自分の“核”となり得るベースを作ることができる。すなわちそれは「生きる力」を育むことになる。
3 自分の頭で考え、それを自分の言葉で表現する力
他人の言動に振り回され、迎合することをよしとするのではなく、しっかりと自分の頭で考え、それをきちんと言葉で表明できることが「自律の一歩」だろう。この自律=“意志”という“快感”を得ることが、人生を楽しくするコツであるはずだ。
4 楽しむ力
「自分が好きだから、これをやる!」という意識、あるいは「好きなこと」を「好き」と言える勇気・確信を持てれば、人生は輝き出す。学校生活のあらゆる学びと経験はわが子の幅を広げるに役立つので、そこに「好き」が加われば無敵である。さらに、それに対して、「好き」を超えて「心弾む」、ときめく感情を持てたならば、「青春」は長く続いていくことだろう。人生は楽しもうとする人が楽しめるのである。