畠中氏は一時期、デイトレーダーさながらに投資していたが、仕事に集中できないとわかり、以後は株価があらかじめ設定した価格まで上下した時点で機械的に売り買いしているという。

「感情を入れずに売買するほうが損は出ず、儲かるようになった。自分に合った方法を見つけることで、利益も出るし、精神的にもラクになった」(畠中氏)

投資信託を毎月一定額で買う積み立て購入も、下落時に買う恐怖心やもっと儲けたいという誘惑を排除でき、損を回避しやすい。「リスクを抑えた方法でもストレスを感じるようなら、無理して投資しないこと。貯蓄でいいし、保険なら続けられるという人は、貯蓄性のある保険で貯めるのもいい。続けやすく、自分に合った方法を見つけ、早く始めることが大切」(同)。

長崎氏も「苦手ならやらなくてもいい」という意見で、「3%節約できれば3%で運用したのと同じ」と話す。

「アッパークラスという意識がある人は金融機関の『特別な話』という囁きに弱いが、特別な話などあるわけない」(菅井氏)ことも覚えておきたい。

菅井敏之(すがい・としゆき)
元メガバンク支店長

コンサルタント。1960年生まれ。83年学習院大学卒業、三井銀行(現・三井住友銀行)入行。東京・横浜で支店長。48歳で退職、起業。アパート経営のほか都内で喫茶店を営む。資産形成や住宅・保険の選び方などで講演・セミナー多数。著著に『金の卵を産むニワトリを持ちなさい』『お金が貯まるのは、どっち!?』ほか。

 

畠中雅子(はたなか・まさこ)
ファイナンシャルプランナー
2000年、駒澤大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。大学時代よりフリーライター、1992年ファイナンシャルプランナー。各メディアに連載多数。セミナー、講演、個人相談など。著書に『サヨナラ お金の不安』『ひきこもりのライフプラン――「親亡き後」をどうするか』(共著)ほか。
 

長崎寛人(ながさき・ひろと)
ファイナンシャルプランナー
1963年、長野県生まれ。NPO法人日本FP(ファイナンシャルプランナー)協会会員、CFP認定。国内銀行、外資系損害保険会社を経て保険代理店を経営。その後、介護スタッフとして障がい者施設や高齢者介護施設などに勤務、介護に特化したFPに。著書に『脱・老後破産マニュアル』。
 
(撮影=加藤ゆき、石橋素幸、永井 浩 写真=iStock.com)
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