大学教授の中には、共産圏の公営企業や日本の公営企業、それに日本の国鉄などが公的資金漬けでどんな状況に陥ったのかを研究している者も多いだろうから、国立大学協会はそういう人たちからしっかりとレクチャーを受けろっていうんだ。公的資金漬け、補助金漬けになった組織は悲惨な末路を迎えているのが歴史的事実だ。
国立大学協会が、いまやらなければならないことは、お金の話以外で日本の大学に横たわる問題点を洗い出すことだ。何が大学の競争力を阻害しているのか。そこを世界の競争力ある大学と比較して徹底して分析するところからスタートしなければならない。
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お金を注入するにしても競争力が強くなる環境を整えなければ意味がない。文化行政予算についても、インテリたちは増額のことしか口にしない。文化団体にどんな問題があるのか、文化行政補助金の仕組みにどんな問題があるのか、その分析や改善なくして補助金を増額するだけでは、補助金をつぎ込んでもつぎ込んでもその文化は衰退していく。
大学も同じだ。そして国会議員などの政治家が大学の競争力を問題視しているのであれば、補助金をつぎ込むための前提として、大学の競争力強化改革を徹底して進めていかなければならない。それこそ大学側が大学の自治を主張するなら、大学や国立大学協会自身が自ら率先して改革をやらなければならないところ、彼ら彼女らにはその強い意思を感じられない。
まずは、やはり大学や教授陣に対する評価の仕組みを構築することである。高橋洋一さんや研究者たちは、研究の評価は難しいという。確かに100%正確に研究成果を予測・評価することは難しいだろうから、できる限り正しい評価に近づくであろう「仕組み」の構築が重要となってくる。中身よりも手続き・プロセスである。そして、大学を取り巻くステークホルダー(利害関係者)として大学や教授陣を評価し得る主体は大きく分けて5つある。
1=学生、2=企業、3=大学外研究者、4=大学、5=政府(政治行政)
この5つの主体によって大学や教授陣を評価する仕組みを構築すべきだ。そしてこの評価システムの構築こそが大学改革の柱になってくる。今、行われている大学改革の類は、大きな改革の道筋が見えない些末な改革となっている。
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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.125(10月30日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【大学改革(2)】補助金を増やすだけでは衰退あるのみ! 大学評価システムはこうつくる》特集です。