住宅購入は、結婚や出産など、ライフステージの変化に影響を受ける。「子供が生まれたから、無理してでも買いたい」と考える人が多い。そうなると「年収の何倍までなら買ってもいいのか」という問いが生まれる。

多くの銀行では、返済比率の35%までは住宅ローンを組んでくれる。手取りの年収が500万円だとすれば、年間175万円、毎月14.5万円を返済にあてる計算になる。こうした上限まで借りるとすれば、年収の10倍の物件を購入することは、理論上は可能だ。5000万円を年利1%で借りると、35年ローンで、毎月の返済額は約14.1万円になる。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/CHUNYIP WONG)

ただし、「年収10倍の住宅ローン」はおすすめしない。破綻するリスクが大きいからだ。先の例で、もし金利が1%上がれば、毎月の返済額は16.5万円になる。無理は禁物だ。一般に、返済比率が25%を超えると、返せなくなる人が増えるといわれている。年収500万円であれば、毎月10.4万円が上限の目安になる。3500万円を年利1%で借りると、毎月の返済額は9.8万円だ。管理費や修繕費を考えると、もう少し予算を引き下げたほうがいい。

それでは、「年収500万円の人は、3000万円程度のマンションを購入したほうがいい」といえるのかといえば、これも難しい。率直にいえば、首都圏の場合、千葉・埼玉で3000万円程度の新築マンションを購入するのは勧められない。

▼年収500万円での住宅ローン戦略
【どこまで借りられるか?】
・返済比率が年収の35%だと……年収の9~10倍
→返済額は毎月14.5万円(年間175万円)
・返済比率が年収の25%だと……年収の6~7倍
→返済額は毎月10.4万円(年間125万円)
【5000万円の住宅ローンの返済額は?(※)
・年利1%だと
→返済額は毎月14.1万円(総返済額は約5927万円)
・年利2%だと
→返済額は毎月16.5万円(総返済額は約6956万円)
※数値は住宅保証機構「住宅ローンシミュレーション」の試算結果