「選択肢はあっても答えはありません」
その1つが、丸2日かけて全社で行うイベントです。社員自身が課題発表や質疑応答を行います。事前に同部署のチームや他部署混合のチームをつくり、実務に即した課題解決の方法を考え、全社員の前で発表し、ディスカッションし、アフターパーティーでお互いをねぎらいます。
社員にとってこの活動は、自分自身と所属部署を客観視する機会となり、頭の中を整理してアウトプットする力、特にプレゼンテーション能力の向上につながっています。また、部署内だけですと、どうしても業務の範囲内でのコミュニケーションになりがちでしたが、他部署と交流することで社内の異文化をお互いが知る機会になり、風通しもよくなりました。社内で顔見知りが増え、社内営業もしやすくなっています。
──他部署の社員が集まる際の空間づくりや発表者の人選などで、工夫されたことはありますか。
通常業務の合間を縫い、さまざまな部署から人が集まって気軽にコミュニケーションが取れるようなスペースが必要だと感じました。そこで、社食を改装し、壁面にプロジェクターや大型のホワイトボードを設置し、昼食時以外はミーティングができる空間としました。さらに執務ゾーンでも、複数部署どうしが混在しながら仕事ができるコネクティングテーブルをいくつか設置しました。
初回の発表者は、上にも下にも影響を与えられ、組織の体質や体制を変えていくうえで最初のキーとなる課長クラスを選びました。彼らはこれからどんどん環境が変わるなかで、IoTやAIなど新しい手法や知識を仕事のなかに取り入れ、マネジメントしていかなければならない世代。人を育て、人材の配置を考え、事業のプロセスをつくり、工程管理もしなければならない。まずは、彼らが率先して働き方を変えていく必要があると考えました。当社は平均年齢が比較的低いので、中間層の人たちも新たな環境に慣れるのは早い気がします。ちなみに、研修参加は2度目からは希望制にしているのですが、毎回さまざまな世代の人が積極的に研修に応募してくれています。
──今後は、どのような働き手が必要でしょう。そのための人材教育についてはどう考えていますか。
日本人は目標や目的さえ決まれば、勢いよく動き出しますし、各企業もその動きに沿って、大きな変化を起こしていくのだろうと思います。