過呼吸で苦しむ嫁に「2人目はまだかしら」と言う無神経
長野真由美さん(38歳)は6年間の結婚生活で義母(73歳)に苦しめられてきました。
「2世帯住宅で旦那(45歳)の両親と同居しているのですが、いろいろありすぎて……。私はもう限界です。旦那に何度も『おかあさんと距離を置きたい』と相談したのですが、『両親との関係が悪くなると困るし、持ち家だから手放せない』の一点張りで聞き入れてもらえません」
真由美さんはそう言って、私に苦しい胸のうちを打ち明けてくれました。2世帯住宅とはいえ、家の中の行き来は可能で、共有スペースもあることから、義母との接触機会は少なくなかったそうです。その義母は持病の影響もあって苛立っていることが多く、「嫁いびり」がたびたびあったそうです。
真由美さんはひたすら我慢しましたが、あるとき、思わず言い返したことが取り返しのつかない事態に発展したのです。きっかけは、夫が真由美さんに一切相談せず、職場の上司に「退職願」を提出したことでした。それを知った義母は、夫ではなく真由美さんをこう叱責したのです。
「なんで息子がこんなことをしたと思っているの!」
このときは、夫が退職願を撤回することで事なきを得たのですが、真由美さんが「私のせいだとおっしゃりたいんですか?」と返答したところ、義母は悪びれることなく「まぁ全部とは言わないけれど」と言い返したのです。
6年間積み重なった心労が限界に達した真由美さんは過呼吸と胃の痙攣を発症。義母の目の前で倒れてしまい、そのまま救急車で運ばれました。その後、退院したものの体調が十分に回復していないといいます。
そこへ義母は「2人目(の子供)はまだかしら」と追い打ちをかけたのです。無神経な発言に憤りましたが、夫からも2人目を懇願されたこともあり、しぶしぶ「妊活」をしたそうです。ところが、体調に不安を抱えながらの子作りは心身ともに負担が大きかったのでしょう。初期に流産してしまったのです。
▼平穏なセカンドハウスと2世帯住宅を行き来
「私はこの家とお義父さん、お義母さんから離れたいの!」
身体的にも精神的にもボロボロだった真由美さんはそう訴えました。夫は「見て見ぬ振り」を続けて離婚に発展してしまっては自分が困るので、ぎりぎりのタイミングで重い腰を上げたそうです。
離婚だけはしたくない夫は、真由美さんにこう切り出しました。
「どこかに部屋を借りて、そこで昼間は過ごしたらどうだろう? 夜ごはんの時間の頃に戻ってくる形で。俺は家を出られないから、卓哉(長男・3歳)と2人でその部屋(セカンドハウス)に住んで構わないよ。家賃と(セカンドハウスでの)生活費(10万円)はこっちで払うからさ」
夫の提案は、両親と妻子の板挟みのなかで編み出した苦肉の策です。自分は2世帯住宅に住み、真由美さんは、午前中は2世帯住宅で洗濯・掃除をしますが、正午前にはセカンドハウスへ一度引き上げ、夕方に再び2世帯住宅へ戻り、夕食づくりをする。これなら義母にそれほど怪しまれることもないのではないか。
夫の「離婚回避」、義父母の「体裁維持」、そして妻の「精神安定」。家族全員の顔を立てるこの案を真由美さんも受け入れたそうです。
「安心して暮らせる場所に1日でも早く移りたいと思っていました。昼間は子どもと気兼ねなく過ごせればいいと」