「半別居」によって離婚準備完了し義母ともサヨナラ
夫が妻子のために2DKのアパートを契約したのは3週間後。ようやく真由美さんはセカンドハウスという名の「心の平和」を手に入れました。そして、このセカンドハウスを「離婚準備」に使うことを思いついたのです。
「最近、旦那は準備ができ次第、義両親との同居を解消し、3人で生活したいと言い出しましたが、私にそのつもりはありません。旦那には少し申し訳ないのですが、あの義母の血を継ぐ息子なので……信用できないんです」
夫婦と子どもが一緒に暮らす。それが夫の望んだ家族の形ですが、真由美さんは夫を受け入れるつもりはなく、「賃貸契約者(家賃を払う)である夫を賃貸物件に立ち入らせない」と心に決め、「落ち着くまでもう少し待って」と先延ばしをしたのです。
ところで、一般的に真由美さんのような専業主婦が子連れ離婚を実現するには壁があります。「住居」と「生活費」がネックになるのです。住居に関しては、専業主婦が保証人なしに部屋を借りることは難しく、もし実家を頼れないのなら行く先がありません。生活費に関しては、子供の養育費を含む生活費を支援してもらう約束を夫から前もって取り付けることは容易ではありません。
▼夫に残るのは2世帯住宅のローンと、家賃・生活費の重い負担
しかし、真由美さんの場合はどうでしょうか?
すでに別居先(セカンドハウス)は確保しています。そして夫との間で「家賃を夫が負担し、生活費も毎月10万円を渡す」という約束をしているのです。
「旦那には感謝しています。今は2世帯住宅と賃貸住宅を毎日往復する二重生活や、子どもの入園準備など、やることがたくさんありすぎて頭がパンクしそうです。だから、離婚するのはもう少し先のほうがいいかなとも思っています」
すでに「半別居」によって離婚の準備は整っているので、今後、真由美さんの選択肢は2つあります。
1つ目は、このまま半別居を続けるパターン、2つ目は別居先での生活維持(家賃、生活費を支援を受ける)を条件に離婚するパターンです。仮に今後、真由美さんが2世帯住宅の家事をしたくなくなったら2つ目に踏み切るよ、と夫に伝達すればいいのです。
結局、セカンドハウスを手に入れた時点で、どちらに転んでも真由美さんの勝ち戦だったと言えるかもしれません。
もし、夫が早々に両親を捨て、妻子を選んでいれば結果は違ったのかもしれませんが、実際には「どっちつかず」でした。わざわざセカンドハウスを用意してくれた夫に対して恩を仇で返すような形になってしまいましたが、真由美さんは夫の自業自得だと考えています。
将来的にこの夫婦の関係がどうなるかわかりませんが、夫の前途が暗いことは確かです。なぜなら、離婚する・しないにかかわらず、2世帯住宅のローン返済とセカンドハウスの家賃・生活費の負担が重くのしかかるからです。(以上、ケース1。ケース2に続く)