「買ってから10年目までは、繰り上げ返済をするとその分、住宅ローン控除の金額も減ってしまうので、あえて繰り上げ返済をするメリットがほとんどない場合もあります」
控除額は住宅ローンの年末残高×1%。残高が3000万円と2500万円では、優遇される税額が5万円違ってくる。
大切なのは、完済を焦らずに、冷静に計算してみること
「近年では、変動金利を中心に、金利が1%を切る住宅ローンも珍しくありません。住宅ローン控除の控除率1%よりも住宅ローンの金利が低いのであれば、あわてて繰り上げ返済をする効果は、実はほとんどないのです」
まず大切なのは、完済を焦らずに、冷静に計算してみることだと大竹さんは言う。
「少しでも早く完済することが主目的になって、必要以上に生活を切り詰めて繰り上げ返済をする人も少なくないようです」
手元にあるお金を無理して返済に回してしまうと、想定外の教育費や親の介護など急な出費に対応できず、金利の高いローンを借りることにもなりかねない。これでは本末転倒だ。
では、返済総額を減らすもう1つの方法、金利の低い住宅ローンへの借り換えはどうだろう。ローンの借り換えは手数料が高いというイメージだが。
「かつてはローンの残り期間が10年以上、残高1000万円以上で金利差が1%以上。この3つが揃わないと借り換えるメリットはないと言われていました。でも、今は手数料が安くなったので残存期間が短かったり、金利差がコンマ何%しかなくてもメリットが出ることもあります」