「CMが好きだから」家族全員iPhoneでバカ高通信費
現状の支出のよしあしを見定めるために、いったん、「将来」という発想を捨てて支出額をチェックすると、改善点がどんどん出てきました。
まず、月6万1000円の食費です。いい食材を買っても、「料理作りが面倒で、つい腐らせてしまう」(香織さん)というムダがあることがわかりました。
また家族4人分で月3万7000円の通信費も「CMが好きだから」など明確な理由もなく大手キャリアにこだわっていました。
月4万3000円の教育費にも問題がありました。10歳の優斗君が所属するサッカークラブは「保護者当番をやらないで済む」という理由で、月謝の高いクラブに入っていました。また優斗君、真凛さんともに通信教育講座に入っていますが、毎月届く教材をきちんと消化できていませんでした。さらに妻の香織さんが通うヨガサークルは月4回で1万2000円と費用が比較的高いにもかかわらず、休みがちだったこともわかりました。
月2万2000円の交際費も改善の余地がありました。夫の達夫さんが月1~2回ペースで出かける「自己啓発セミナー」の費用なのですが、「時々居眠りで、交換した名刺も見返さないものがほとんど」(達夫さん)という状態だったからです。
▼月の赤字6.6万円をこうやってなくした
このように客観的に見て、本当に消費・投資といえる支出かどうかを吟味していくと、そうではない部分は削減してもかまわないということが分かってきました。
・食費は食材にこだわりつつも、使い切ってムダを出さないことを徹底する。
・通信費は子供たちのiPhoneはそのままで、4台とも格安SIMに乗り換える。
・達夫さんのセミナーの参加は本当にためになりそうなものに絞る。
・子供たちと香織さんの習い事は、地域のクラブやサークルに入りなおす。
こうしてひとつひとつ積み上げたところ、月6万6000円の削減ができました。これで赤字はなんとか解消できることになります。
「支出削減はこれくらいが限界かな」と私が思っていたところ、達夫さんが香織さんに対して「僕の小遣いを1万円減らそう。赤字もなくなって、毎月1万円は貯金できるよ」と言い出しました。
私は家計費を見直す際、できるだけ小遣いには手をつけないようにしています。なぜなら、大人が仕事や家事を頑張るうえで、収入に応じて自由に使えるお金があるほうが健全だと思うからです。そう伝えると達夫さんは「大丈夫です。その分は、稼ぎます。自分で自分の小遣いを稼ぐと思うと、セミナーに通うよりやる気がでますね」と言います。この調子で月2万円のセミナー代も浮けば、貯金額はさらに増えていきます。