貨幣の増加にかげりが見えるなかで、「両替」を事業として展開する企業がある。セブン・キャッシュワークスは08年6月からセブン-イレブンの店内に有料両替機の設置を進めている。09年4月1日現在で首都圏に98台の両替機を設置。また現段階ではセブン-イレブン加盟店に限定しているが、店舗に釣り銭を定期的に宅配する事業も手がける。同社の丹生勝巳社長は参入理由をこう話す。

「01年から金融機関での両替手数料が相次いで有料化されました。その後は手数料の値上げや支店の統廃合、両替機の撤去で使い勝手は悪くなる一方。同じ小売業として商店主の皆さんが抱える問題はよくわかります。現場の切実な要望を受けて事業化に踏み切りました」

電子マネーの普及が後押し。不況も影響か

利用動向の結果を見ると狙いは当たったようだ。両替機の利用は商店のにぎわう週末が多く、利用件数の86%は金融機関の営業時間外の来店という。また、商店主はこれまでセブン-イレブンへの来店頻度が少なかった層だということで、両替をきっかけにした来店頻度の向上も狙う。

ところで、同社の親会社であるセブン&アイ・ホールディングスは電子マネー「nanaco(ナナコ)」の普及に力を入れている。電子マネーが広がれば釣り銭の需要が減ってしまうのではないか。丹生社長はこう答える。

「釣り銭需要が減っているという印象はありません。むしろ金融機関以外で両替するという価値が浸透すればより大きなビジネスに成長するはずです」