若い社員に注意すると「パワハラだ」と叫ばれる時代

困ったことに、間欠爆発症に限らず、過剰反応する若者が最近増えている。そのため、指導する立場の上司や先輩が困惑することも少なくない。

たとえば、ある会社に女性の新入社員が入ってきた。ミスが多かったが、「誰でも最初はそういうもの」と上司は自分に言い聞かせながら、我慢して指導していた。彼女にはもう1つ指導すべき点があった。遅刻癖だ。正当な理由のない遅刻は、社会人として失格である。仕事のミスは仕方がないとしても、遅刻癖は直してもらわないと他の社員にも示しがつかない。そこで、上司は女性社員を呼び出して口頭で注意した。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/chombosan)

上司が注意したところ、女性社員はその場でワッと泣き出し、「ひどい。そんな言い方をするなんて、パワハラです!」と叫んだ。上司は指導するつもりで注意したのに、逆に非をなじられて困惑し、それ以上何も言えなくなってしまったという。

しかも、彼女の反撃は、その場にとどまらなかった。上司の上司にパワハラ被害を相談したのだ。そのため、上司は人事部から呼び出されて、事情説明をする羽目になった。

この女性社員は、遅刻癖という自分自身の非を認めたくないからこそ、自分がパワハラの被害者であるかのように装ったのだろうが、どう見ても過剰反応である。このように被害者のふりをして、叱責や非難をかわそうとする社員は要注意だ。

こういう社員は、絶えず「自分は悪くない」と主張する。そのためには何でもするが、この女性社員のように被害者を装って、“加害者”とみなす相手を糾弾する場合もあることを忘れてはならない。

▼「僕は、親にも教師にも怒られたことがないんです」

別の会社では、20代の一流大学出身の新入社員の男性に手を焼いたらしい。はじめての業務ばかりだから、わからないことがあって当たり前なのに、上司にも先輩にも一切質問せず、自己判断で進めてしまう。そのため、何度も取引先からクレームがきたので、上司が「わからないことがあったら、必ず聞きなさい」と注意した。

しかし、その後も相変わらず質問せず、自己判断で進めることをやめなかった。そして、ついに多額の損失を出してしまった。取引先にも迷惑をかけたので、上司が取引先に謝罪に行ったのだが、当の本人は反省するどころか、「僕は、こんな小さな取引をするために会社に入ったわけではありません。もっと大きな仕事をさせてください」と上司に直訴した。

そのため、上司が「お前、自分が何をやったか、わかっているのか」と怒鳴ったところ、新入社員は「僕は、親にも教師にも怒られたことがないんです」と答え、翌日から出勤しなくなった。

後日、「適応障害のため、休養加療を要する」という趣旨の診断書が送付されてきて、数カ月間休職した。その間、この新入社員は、「(怒鳴った上司の)パワハラではないか」と社内の相談室で訴えたらしく、上司も事情を聞かれたが、「パワハラではない」という結論が出た。ただ、上司は、自分が怒鳴った理由や新入社員が損失を出した経緯を説明するのに時間とエネルギーを費やし、疲れ果てたという。