プロ野球選手になった今も、上には上がいると思っている。

たとえば大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)や松井裕樹(東北楽天ゴールデンイーグルス)は、僕よりも年下だけど、あれだけ腕を振れて、変化球を投げられる。僕にはない良さを持っていると、認めざるをえない存在だ。

でも、僕自身ももっといい球を投げたい。

1つでも勝ちたい。そのために、今でも毎年、お正月には目標を色紙に書いている。

1年目のシーズン開始前、色紙に目標を書いた(『約束の力』より)

1年目は「新人王」。去年は、達成できなかったけど「セーブ王になる」「40セーブ」。

プロである以上、年棒も目標を定める。

今年もまた、新たな目標を掲げている。

「シミュレーション」が度胸に変わる

“新人離れした度胸”
“強気な投球”
“大舞台でもプレッシャー知らず”……。

1年目から、そんなことを言っていただいた。クローザーをやっている立場からすれば、素直にうれしい評価だ。

一方で、人より度胸があるのかなとか、ハートが強いのかなって考えてみると、自分では分からないところもあるけれど(笑)。

ただ、自分がマウンドでいつもやっていることで、プレッシャーを感じない理由になっているのはこれかなと、1つ思い当たることはある。

一球一球、次にこうなったらこうする、と細かくシミュレーションしていることだ。

目の前のバッターを三振に取ることだけでなく、3人のバッターをトータルでどう抑えるか。ゴロアウトやフライアウトも必要だし、ゲッツーをとる方法もある。

確率面も考える。このバッターが打つ確率はどれくらい? 仮にヒットを打たれたら、次のバッターがヒットを打つ確率は? ましてやホームランになる可能性はわずか……。

ちょっと意外かもしれないけれど、がむしゃらに向かっていくよりも、確率で頭の中を整理しておくと、腕も振れる。