「先輩との差」にガッカリする必要はない

今だってそうです。売上アップに特化した中小企業相談所の金字塔・富士市産業支援センターf-Bizの小出宗昭さんを師として、OKa-Bizセンター長を拝命し、はや4年。ある程度OKa-Bizでも成果を出すことができた……と思い、しかし比べてみればその差は歴然としていることに唖然とします。

小出さんが、中小企業支援の世界に足を踏み入れたのが2001年。僕がOKa-Bizを始めたのが2013年のことですから、12年の差。そりゃ冷静に考えれば12年分のキャリアの違いが成果に表れて当然。それでも悔しいし、もっと力をつけたい、と思う。だからこそ、12年後に今の小出さんのような力をつけられるように、と思うのです。そして、今の僕が比べるとすれば12年前の小出さんでしょうし。

入社をしてしばらくの時期は、とにかく何もできないし、新たな環境に慣れようと必死だったでしょう。そしてそれが一段落すると、あらためて先輩社員との力の差を感じる機会も多いのではないでしょうか。

たとえば10歳上の先輩と今の自身を比べて「自分、まだまだだなぁ」と思ったりして、なんだかしょんぼりしてしまうこともあるかもしれません。

でも、比べるべきはその先輩の10年前と、今の自分。あるいは、10年後の自分と、今のその先輩。そう思えば気持ちはすっと軽くなるのではないでしょうか。そして、その差を埋め、さらには追い抜いていくためにはどうしたらいいだろうかと考え、そして実際に行動していけばよいのです。

ベンチマークする存在は「近道」と同じ

さらに、10年後の自分が、今のその先輩を追い抜いていくためのヒントは、その先輩にあるのです。どうしたら、その力を身につけることができるのか、聞けばいいのです。やり方だけでなく、考え方も、身の振る舞いも徹底的に真似ればいい。真似たつもりでも、絶対に自然と自分なりのやり方がまざるから全く同じにはなりません。

成長の仕方や成果の出し方を学び、自身に活かすことができれば、その先輩以上により速いスピードで成長を重ねていけるのではないかと思います。

目指す先輩の存在があるということは、そうなるための方法や道筋がわかる、ということなのです。だからこそ、10年後の自分が、今目の前の憧れの師匠や先輩と肩を並べ、そしてそれ以上のパフォーマンスをあげられるようになろう、と思い、そしてひとつずつ取り組めばいい。

焦る必要はないし、ベンチマークする存在がある分だけ近道を見つけたんだと思えばよいのです。

10歳上の先輩の今、と今の自分を比べなくてもいいのです。10歳上の先輩の10年前、と今の自分を比べて、成長していけばよいのです。

秋元祥治(あきもと・しょうじ)
岡崎ビジネスサポートセンター(OKa-Biz)センター長、NPO法人G-net理事(創業者)
1979年生まれ。大学在学中の2001年、21歳で地域活性化に取り組みたいとG-netを創業。中小企業支援と若者をつなぐ長期実践型インターンシップ事業を立ち上げる。一方、2013年よりOKa-Bizセンター長に就任。4年間で8000件を超える相談を受け、売上アップをサポート。経済産業省「キャリア教育アワード」優秀賞、「ものづくり日本大賞」優秀賞などを受賞。早稲田大学社会連携研究所招聘研究員・内閣府地域活性化伝道師。
(写真=iStock.com)
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