前出の韓国大手メディアの記者は「韓国人の博打好きを象徴しているかもしれない」と話す。

「規制が厳格な中国から資金が流れてきて、取引額が膨らんでいる背景もあります。これまでは実名でなくても問題なかったり、税金がかからなかったりという利点があったからです。とはいえ、韓国国内での取引額の多さは、韓国人の博打好き、もしくは博打にのめり込む気質を象徴しているかもしれません。日本であれだけ乱立しているパチンコ店が、08年には国を挙げて全面禁止された歴史があります。理由は、国民がのめり込みすぎて国が傾くから。政府役人は、仮想通貨にも似たような危機感を抱いているのかもしれませんね。……え? 僕ですか? いろいろな種類の仮想通貨を持っていますよ」

国外のブロックチェーン企業も韓国を狙う

そんな仮想通貨大国・韓国の市場を狙って、国外のブロックチェーン企業やICOをしかける企業群も続々と動き出している。某有名ブロックチェーンサービスおよび仮想通貨(トークン)を発行する欧州企業の幹部は言う。

「僕らが狙いを定めているのは、日本と韓国。サービスの展開準備ももちろんですが、取引所にトークンを上場する作業も着々と進めています。やはり、取引量や影響力が大きい両国で認知度が高まるのは、企業にとって恩恵が大きいと思います」

自殺や詐欺事件、大量の資産を失う人々が続出する状況になっても、仮想通貨への熱が冷めない韓国社会。取引全面禁止という規制案を民意で黙らせた仮想通貨大国は、今後、世界市場でどのような地位を占めていくのだろうか。特に仮想通貨投資を行う人たちにとっては、定点観測が不可欠なイシューとなりそうだ。

(写真=iStock.com)
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