でも譲れない400万円の壁


図9/図10/図11/図12

震災を機に、高まる結婚・出産(子持ち)願望。だが当然ながら、結婚は「相手」がいなければ成立しない。

図9を見ると、女性の7割以上が、相変わらず「結婚相手の理想年収は、600万円以上」と答えている。また、ほぼ同率の7割が「妥協しても(相手の年収は)400万円以上」と回答(図10)。とくに、自分が400万円以上稼ぐ女性の場合、「400万円未満でもいい」は、わずか1割程度しかいない(図11)。

だが独身男性の現実を見てみると、年収600万円以上は、40代男性でも2割以下。400万~600万円未満の「妥協ライン」でさえ、20代で2割弱、30代でも23.9%しかいない(図12)。

内閣府の調査(11年)でも、20~30代男性で既婚と未婚のボーダーラインに位置するのが、年収300万円だ。現実的に結婚を考えるときには、理想はもちろん、妥協の年収より低い300万円を受け入れている女性も多いのだ。

「女性の結婚意欲が高まっても、男性の年収ベースが上がらない限り、婚姻件数の目立った上昇にはつながらない」と、中央大学文学部教授の山田昌弘氏。今は独身女性の多くが、親と同居で可処分所得も高い。だから「低年収の男性と無理に結婚する必要はない」と考えやすい、と言い切る。


図13/図14/図15

調査では、20代でも恋人がいない独身男性が約7割もいるうえ(図13)、年収が結婚のみならず「恋人の有無」にも関係する様子が明らかになった(図14)。「現在、恋人がいる」独身男性は、年収600万円以上では45.5%だが、200万円未満では15.5%と2割にも満たない。

「女子大生に聞いても、『結婚を意識して交際するなら、安定した男性がいい』と言う。男性も、自分の年収などに自信がなければ告白を躊躇するからおのずとこういう結果が出るのでは」と山田教授。

では、スペック(経済力など)以外はどうだろう。震災後は、男性に「生命力」を求める独身女性も増えている(図15)。