フリーコンサルタントのBさん(32歳)も、震災後に「親のため」を考えて、結婚・子づくりを意識するようになった。

フリーになる前は、外資のコンサルティング会社に勤務。昔も今も、典型的な仕事人間だ。震災当日から3日間は、ほぼ徹夜状態で4件のプロジェクト報告を作成。離れて住む親に「無事か?」と連絡するのがやっとだったという。

一段落して1週間ぶりにテレビをつけると、津波や原発事故の信じがたい映像が目に飛び込んできた。虚無感に襲われていたとき、交際中の彼女が訪ねてきた。

「なんで電話に出てくれなかったの?」携帯電話の「着信履歴」には、震災直後から彼女の番号がズラリ。でも疲れていたBさんは、思わずこう言い放った。

「うっせえな。仕事忙しかったんだよ」

泣きわめく彼女。それを見て「彼女との結婚はないな、と思った」とBさん。

「僕の優先順位は、上から友達と親、趣味、そして仕事。友達や趣味の仲間は共通のインサイトでつながっているし、仕事にも担当者との信頼関係がある。でも恋愛は別。いつか別れるかもしれない関係だから、つい面倒に感じるんです」

彼女と別れた後も、その思いは変わらない。ただし結婚への意識は変わった。親は震災後も、結婚をうるさく言うことは一切ないが、「血筋を絶やしたくないとは感じたようだ」とBさん。今は「対親」の観点から「結婚はマスト(MUST)だ」と考えているという。典型的な「独身王子」まで結婚へとゆらぎ始めた。