枝野代表は現実的、かつ論理的にものを考える人
【塩田】安倍首相は改正憲法の2020年施行を唱え、19年までの改憲実現を目指して、今年の国会で改憲案発議を、と想定している可能性があります。どう対応しますか。
【福山】何を発議したいのか、議論すべきですが、自民党の中でもはっきりしていない。安倍首相は国会で憲法について発言しません。われわれは憲法審査会に出ないといった議論はしません。まともな議論かどうか、きちんと検証し、議論を戦わせたいと思います。
【塩田】自民党は4つの改憲項目を選挙公約に掲げましたが、ほかに二院制とか、地方自治の第8章を取り上げる改憲論もあります。立憲民主党は独自の憲法案を示す計画は。
【福山】今のところはないです。今の憲法に基づいて立憲主義を唱えていて、新しく憲法をつくろうという立憲ではありません。立憲主義に基づいた政治をやりましょうということで、権力を抑制するという立憲主義の考え方が安倍政権によって崩れたことが問題だと思っています。
現状では、党として昨年末に憲法について考えをまとめ、その中で首相の衆議院解散権の制約や基本的人権の尊重・拡大の検討、国民投票のあり方などについて、現在の憲法論議とは別の方法論として議論するべきではないかと指摘しています。
【塩田】党のトップの枝野代表の政治家としての魅力は。
【福山】ぶれないですね。自らの考えがはっきりしています。現実的、かつ論理的にものを考える人です。簡単にいうと、1つの幅の中で、現実主義的に対応する。こちらから見ていて、この幅なら許容できるけど、それ以上は許容できないという点がはっきりしています。本当にぶれないので安心です。
それから情も深い。今回、手話言語法の制定を選挙で訴えることにしましたが、枝野さんが「これは絶対やらなければ」と言った。若いとき、薬害エイズ問題に裏方で取り組んだときの正義感を見ても、情が深い人で、代表として非常に信頼できる上司です。
今回、選挙期間にSNSがすごく話題になりましたが、新しいツールによる時代の変化を感じた。今までのような動員型よりも、SNSを通じて、老若男女を問わず、いろいろな層の人が集まってくる。その中で、枝野さんはすごくフランクで、近い存在と見られています。
小泉ブームとか一時期の小池ブームという形ではないけど、この政党なら信頼できるのでは、少し我慢して見守って育てよう、という期待感をじわじわと積み上げていける代表です。選択肢がない中で、よく党をつくってくれたと言われますが、一過性のワーッとした人気が上がるような党でないほうが立憲民主党らしいと思っています。