日本のお笑いの魅力はネタの力
日本のお笑いの魅力は、なんといってもネタにあります。
ネタという概念は、海外にはあまりありません。海外はスタンダップ・コメディが主流で、コメディアンはライブハウスで15分の尺をもらったら、あらかじめ「この話をしようかな」と適当に話題だけは考えて、あとはテンポ良くしゃべって、ちょっとお客をいじって場を収める、みたいな軽いノリです。
日本でいうお笑いのネタとは、いわば一つのパッケージ化された作品です。
ある一定の時間枠内にきちんと収まるように話の筋を組み立て、最後のオチに向かってすべてのボケを回収していくように考え抜く。そうやって考えたものを、暇さえあればタイマーを手にネタ合わせをして、間合いや呼吸といった細部にこだわって磨きあげ、本番の舞台で披露する。それが日本で言うところの「ネタ」です。
日本のお笑いは細分化されていて、いろんなスタイルが次々登場します。海外ではお笑いのスタイルが固定化しているので、そこでリズムネタやフリップネタをやったら、「その発想はなかったわ」と真似をするコメディアンがいっぱい出てくるんじゃないかと想像がつきます。
「ラララライ体操」は世界でウケるはず
たとえば僕が海外ウケすると思うのは、藤崎マーケットさんの「ラララライ体操」。『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)で披露して人気になったネタです。タンクトップに五分丈の黒のスパッツといういでたちで、「ラララライ♪」とリズミカルに歌にのせて体操しつつネタを挟む、一種のリズムネタと言えるでしょう。
ただ、こういうネタは一発でウケるとは限りません。事実、「ラララライ体操」が初登場したときはあまり観客のウケが良くなかったといいます。それがアンコール出演でもう一度やったときに、大爆笑に変わったのです。
一発ギャグと同じでインパクトの強いネタは、1回目の反応はとかくイマイチなもの。それはなぜかといえば、初見はびっくりするだけで終わってしまうからです。