ベトナム、アメリカにも進出

「パンの缶詰」で飢餓救済と被災地支援。ハイチの子どもたちと。

96年に「カンカンブレッド」と名付けて発売開始したが、全く反響がなく、最初の1カ月間でたった1缶しか売れなかった。その後、2004年に新潟県中越地震が起き、秋元がパン缶を持参して被災者に届けたことが転機となった。一部の自治体でも備蓄していたパン缶を支援に回し、パン缶が現地で山積みになる光景がテレビで流れた。

学校給食でもパン缶が出され、現地に調査に入った専門家にもパン缶が配られた。これを契機に一気に知名度が上がり、災害備蓄用として多くの注文が入るようになった。

2015年にはベトナムのダナンに初の海外店舗を出店した。父・健二の「戦争で迷惑をかけた東南アジア諸国で償いをしたい」という願いをかなえたかったという。同社ではベトナムから3人の実習生をすでに受け入れており、パン作りを学んだ彼らが本国で働ける日も近い。

2017年2月からはサンフランシスコのパン店に委託して、パン缶の現地製造とテスト販売を開始した。近く米国食品医薬局の認可も取得予定だ。秋元は「将来的には救缶鳥プロジェクトもアメリカで試したい」と話す。

パン缶が父の思いをかなえ、国内外に笑顔と安心を届けている。

(文中敬称略)

株式会社パン・アキモト
●代表者:秋元義彦
●創業:1947年
●業種:パン・缶詰パンの製造販売
●年商:5億円(2017年9月期)
●従業員:60名
●本社:栃木県那須塩原市
●ホームページ:http://www.panakimoto.com/
(写真提供=パン・アキモト)
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