日本国憲法第9条の最後の守護者

この日本国のトップのバトルの勝者はどちらになるのだろうか。

内田は、憲法を擁護する天皇と、現代憲法はみっともないから早く廃絶して、立法府、司法府を形骸化して、独裁体制をつくることにジタバタしている安倍首相では、「両者の語る言葉の重さの違い、国民に向かうときの誠実さの違いは、日本人なら誰でもわかると思います」と、安倍には全く分がないという。

私もそう思いたい。だが、残り時間の少ない安倍首相が、さきの選挙で得た議席数を背景に、「国難だ、国難だ」といい放ち、なりふり構わない改憲へ突き進む恐れなしとはしない。

天皇を日本国民統合の象徴としたのはアメリカで、日本人のあずかり知らないところで決められた。だが現在、日本人の多くは、天皇を平和の象徴として、日本国憲法第9条の最後の守護者として敬意を寄せていることは間違いない。

戦前を美化し、強い日本を取り戻そうなどといい放ち、日本を再び戦火の渦に巻き込もうとする安倍政権に対して、「ノー」を突きつけている天皇皇后を孤立させてはならない。

戦後一度も手にしたことのない「国民主権」なるものを自分たちの手でしっかりつかみ取り、安倍政権打倒はもちろんのこと、アメリカから日本の「主権」を取り戻すために何ができるのかを考える時である。

戦後初めてといってもいいだろう、天皇皇后から日本国民に突きつけられた難問を解く時間は、それほど残ってはいない。

(文中敬称略)

(写真=ロイター/アフロ)
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