米国トランプ大統領と安倍首相が夕食をともにした「銀座うかい亭」は、1日に123人を集客。1人当たりの飲食代平均は2万6200円で、1日の売上高は323万円である。さすがに高級店といえよう。店舗の資産価値は1億9900万円で、運営スタッフは従業員59人、パート7人である。
同店を運営するうかいは、1日集客が500人弱で、1日売上高が680万円超の「東京芝とうふ屋うかい」も手がけている。
高収益は外食チェーンSPAが原動力
1000円の飲食代にたとえた収支はどうだろうか。
サイゼリヤが低価格を実現できるのは、ビーフやミルクの調達コストが安価なオーストラリアに自社工場を整備し、ハンバーグやホワイトソースなどを製造しているからだ。そうした原材料の仕入代や食材の製造など原価は、350円台から370円台。経費はおよそ570円。その結果、1000円の飲食提供での儲け(営業利益)は54円、62円、76円での推移である。
儲けは上昇傾向にあるとはいえ、1000円の飲食で150円に迫る儲けを出していた時期もあっただけに、さらに利益を拡大したいところだろう。
SPA(製造小売)として高い収益力を示しているファーストリテイリングやニトリHDと同じように、サイゼリヤは外食チェーンの「製造直販業」を指向している。
外食の製造直販とは、お客に直接料理を提供する店舗を持つ企業が、自ら商品開発、食材の生産、加工、配送まで一貫して行うという意味だ。サイゼリヤはわずか十数店のころから1000店舗を視野に入れ、60年構想で製造直販体制を築いてきた。その最大のメリットは品質と価格を自らがコントロールできることだという。
「丸亀製麺」を中心に、祖業の焼鳥店「とりどーる」などを手がけるトリドールHDは、外食チェーンとしては珍しく国際会計基準を適用しており、経営状況の開示に積極的な企業である。
飲食代1000円にたとえた収支内訳は、原価256円、経費660円、儲け84円だ。2、3期前の儲けは30円~40円台だったことから、儲けを拡大しているといっていいだろう。
丸亀製麺の1店舗平均の従業員数は、およそ0.4人。つまり、店舗運営はパート主体ということだが、それは人件費にもはっきり示されている。トリドールHD全体の人件費は、1000円当たり286円についているが、「給与・手当・賞与」46円に対して、「パート費」は212円である。
サンマルクHDは、外食の勝ち組企業のなかでもとくに、高収益をキープ。1000円の飲食提供で得る儲けは、110円~120円台の推移である。