人事や経理の職歴も特技としてアピール

次に、趣味や特技を生かして働くという手もあります。例えば、インテリアが好きな人は、リフォームのアドバイザーという職種もあります。1日5000~1万円程度になりますから、週に2~3日働けば月10万円程度は稼げます。日曜大工が趣味の人は、DIYの講師としてカルチャースクールなどで指導すれば2時間で5000~1万円程度にはなります。自分にはどんな特技があるのか、1度じっくり考えてみてください。

(Getty Images=写真)

「私には何の特技もない」と言う人はよくいますが、現役時代に長く担当した仕事があればそれは立派な特技です。私の知人で元システムエンジニアの60代の人は、図書館のパソコン指導員なんていう仕事に就いています。

大企業で人事や経理の仕事をしていた人なら、その経験が特技として生かせます。中小企業やベンチャーでは、人材採用の仕組みや教育制度、評価制度などが整っていませんし、経理の専門家も不足しています。人脈さえつくっておけば、60代でもそういう会社に潜り込むことは、難しいことではありません。そんなふうにいろいろと見渡してみれば、現役時代の経験を特技として生かせる仕事は周りにたくさんあります。

最後は、いわゆるシルバー人材センターなどが斡旋するコモディティーな仕事。例えば「駐輪場の管理人」「清掃員」「工事現場の警備員」「芝刈り」などの、いわばガテン系の肉体労働が中心です。こういう仕事は1日で7000円程度ですから、自分の体力と相談ですが、2週間も働けば月10万円を稼ぐことができます。

再就職を果たしたら、1番気を付けるのは、先輩ヅラをしないこと。再就職ともなれば上司を含め職場にいるほとんどの人が年下です。媚びる必要はありませんが、対等な関係を築くことを心がけてください。私は相手が年下でも「~くん」ではなく「~さん」と必ずさん付けで呼んでいます。

一方で、若い人が困っていたら積極的に知恵を出したり、クレームがきたときは代わりに対応したりと、若い人のフォローをしています。そうやって普段から力になっていれば、こちらがコンピュータの操作に困ったときなどは彼らが率先して教えてくれます。現役社員とは持ちつ持たれつの関係をつくる。それが、高齢者が長く働くコツです。

菅野宏三(かんの・こうぞう)
人事コンサルタント。1942年生まれ。日本テキサス・インスツルメンツを経て、伊藤忠商事グループの人材紹介会社キャプランで部長コンサルタントとして人材紹介業務に携わる。その後独立。著書に『50代からの転職・再就職』『転職で成功する人、失敗する人』ほか。
 
(構成=大島七々三 撮影=大沢尚芳 写真=Getty Images)
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