国の年金財政の状況を考えれば、定年退職後も、稼げる副業や仕事を持っていることが非常にに重要だ。目標は「月10万円」の副収入。60代、70代になっても働ける人はどこが違うのか。シニアの再就職に詳しい専門家が、そのポイントを教える――。

仕事が見つかる人、見つからない人の違い

定年になれば退職金も入るし、しばらくは妻と旅行したりゴルフをしたりして休もう。仕事のことはそれからだ――。そう思っている人もいるでしょう。しかしそれは大間違い。今の再就職事情を考えれば、職歴に空白をつくると「現役感がない」「社会と断絶している」と見なされて、「使いものにならない人」という烙印を押されてしまう。再就職先はまず見つかりません。

(Getty Images=写真)

だからこそ、定年後の再就職のことは早めに考えておく必要があります。再就職の準備は、定年の10年以上前から始めておくといいでしょう。定年間際になって探し始めてもなかなか仕事は見つからないし、ましてや定年後のブランクがある人は、前述したように手遅れになってしまいます。

今どきの60代は皆さん、元気ですから、まだまだ働けます。私は73歳で年金をもらう身ですが、週3日は再就職支援の仕事をしていますし、それ以外にもテレビに出演したり、新聞や雑誌に頻繁にコメントを出したり、講演だってやっています。社会とつながっていたほうが元気でいられるし、稼いでいれば、孫に何か買ってあげていい顔ができるし、女房に粗大ゴミ扱いされることもありませんから。

定年後はどのくらい稼げばいいのか。年金生活者になれば、現役時代と同じペースであくせく働く必要はありません。サラリーマン生活を送ってきた人なら、夫婦で受け取れる年金額は約20万円。そこに月10万円の副収入が加わって、月に約30万円あれば、夫婦2人で余裕のある暮らしができます。

再就職を考えるにあたって、最初に、皆さんが持っている常識を変える必要があります。多くの人は、転職や再就職の際はハローワークや求人サイトの求人票で仕事を探すものだと思っています。

ところが定年後に安定した仕事に就く人のほとんどが、今いる会社からの誘いか、知人の紹介なのです。「〇〇さんには定年してもこの職場にいてほしい」と今の部下が上司にかけ合ってくれるか、他部署から「定年になったらうちの部署を手伝ってほしい」とお声がかかる。あるいは「辞めるなら、うちの会社に力を貸してほしい」と営業先や取引先から声がかかることで再就職先が決まっています。だから私はよく「自分の周りが求人票」だと言っているのです。