まとめ―代替要因の把握がカギ
マーケティングのモデルを読み解いたり、組み立てたりする際には、因果関係の代替要因の潜在(=他の要因でも類似の効果を実現できる可能性)に気をつけなければならない。事例分析では、成功の要因がひとつ見つかると、すべてがわかった気になりがちだが、そこは貪欲に、さらに他の要因がはたらいていないかを検討してみるべきである。たとえば、消耗品の専用化は、アフター・マーケットを押さえるひとつの要因だが、別の攻め筋もある。このことを見逃していると、企業は次の一手を打ち損なう。
アフター・マーケットにかぎらない。マーケティングを戦略的に展開していくには、複数の代替要因を押さえておく思考が欠かせない。産業や企業の事例にもとづく、KK法は代替要因把握の有力な方法である。
神戸大学大学院経営学研究科教授。1966年、米・フィラデルフィア生まれ。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(商学)。2012年より神戸大学大学院経営学研究科教授。専門はマーケティング戦略。著書に『明日は、ビジョンで拓かれる』『マーケティング・リフレーミング』(ともに共編著)、『マーケティング・コンセプトを問い直す』などがある。