市場シフトに備えた戦略商品

国内のコーヒー消費のシフトが進んでいる。コンビニ各チェーンは、カウンターのマシンでの淹れたてコーヒーの提供を拡大している。一方で缶コーヒー市場は、近年は縮小傾向にある。

家庭用のコーヒーマシン市場でも、かつての主流だったドリップ式マシンの販売は縮小し、シングルサーブタイプの販売が伸びている。シングルサーブタイプは、手軽に一杯ずつコーヒーを淹れることができ、エスプレッソやラテなどさまざまなタイプのコーヒーを楽しめることで人気を集めている。

伸びない市場で、企業が生き抜いていこうとすれば、既存商品をただ守っているだけでは危うい。市場のシフトをうまくとらえていかないと、成長はおろか、生き残りをかけた業界再編に追い込まれていくことになる。

ネスカフェ アンバサダーは、シフトの進むコーヒー市場における、ネスレ日本の新しい事業である。ネスカフェ アンバサダーとは、職場の世話役となる人が、ネスレの「お届け便」でのコーヒーの定期購入を条件に申し込みを行うと、確認手続きを経て、職場にコーヒーマシンが無料で届くというプログラムである。「アンバサダー」とは、この世話役のことを指し、コーヒーの補充購買、利用者からのコーヒー代徴収、そしてマシンの管理などの役割をになう。

ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ i [アイ]

「ネスカフェバリスタ」は、そこでの一番人気のマシンであり、ネスカフェ・ゴールドブレンドなどの専用カートリッジをセットして使う。最新のモデルのバリスタでは、エスプレッソ、カプチーノなど5種類のメニューのコーヒーを一杯ずつ、簡単なボタン操作で淹れることができる。

ネスレ日本は2000年代半ばごろに、このバリスタというマシンの開発をスタートしている。当時より日本では少子高齢化が進むなかで、人口減に向かうことが予想されていた。一方で世帯数は、増加が見込まれていたが、これは世帯規模の縮小によるもので、ひとり世帯、二人世帯の増加が続いていた。