再婚後も円満な家庭はたくさんあるが……

相続・遺産分割などの事案も手がける大宮桜木町法律事務所の小川武士弁護士は「世の中の後妻の方の多くは、必ずしも遺産目的に結婚する女性ばかりではありません。後妻と結婚する大半のケースは良縁で、再婚後も円満な家庭はたくさんあるはずです」と語る。

しかし、それでもなお問題が起きるのが現実だ。それ相応の資産を持っていた親が亡くなり、遺言書がなかったりすると、その遺産を巡って骨肉の争いにさえなってしまう。被相続人が会社を経営していた場合は、株式の争奪まで含めた紛争に発展しかねない。

「高齢になって再婚する際は、相続争いが生じないよう、事前に遺産の引き継ぎ方を考えておいたほうがいいでしょう。理想的なのは、トラブルを避けるため、遺言書を公正証書遺言で用意し、しかも遺留分を考慮した内容にすることです。逆に遺産目的の後妻主導のもと、全財産を後妻に相続させるという遺言書を作られると、子どもは原則、遺留分として遺産の4分の1しか請求できません」(小川弁護士)

もしも遺言書がなければ、法定相続分に基づき遺産を分けることになる。男性に子どもがいれば、後妻が2分の1で残りを子どもたちが分け合う。ただし、後妻に連れ子がいて、養子縁組をされてしまうと、その子にも相続の権利が発生するので要注意だ。

高齢化社会が進むにつれて、こうした後妻業のプロが絡む事件は増えていくに違いない。しかも、その多くは水面下に隠れてしまう可能性のほうが大きい。とはいえ、高齢男性が最晩年を独りで暮らすのも寂しい。後妻をもらうとき、大事なことは何よりもお互いの愛情だが、それでも将来のリスクは考えておく必要がありそうだ。

関連記事
「60代のひきこもり」が増えている
親資産が命綱「38歳ひきこもり」の"終活"
京都連続不審死事件を予言!? なぜ男は毒婦にダマされるのか
妻が「お尻を拭いてもいい」夫の共通点5
ついに最高裁が認めた「孫を養子」節税術