後妻業の女性にはすべてが筒抜け
長い人生の経験もあり、仕事を通じて見識も持っているはずの高齢男性が、後妻業の女性にいとも簡単に騙されるのには理由がある。彼女たち後妻業のプロが使う手口を調べると、全国のどこにでもある結婚相談所を実に巧みに活用していたのだ。
高齢の独身男性が結婚相談所に入会しようとすると、入会金や年会費などの費用がかかる。それも決して安くはないので資産家の男性が多く、プロフィールには資産状況まで書き込む。また、住所を見れば高級住宅地なら一目瞭然だし、番地の最後尾に3、4桁の数字がなければ戸建てだとわかる。
黒川氏は「それ以外にも家族構成や職歴、年金があればその金額まで記入しますから、後妻業の女性にはすべてが筒抜けになってしまいます。鵜の目鷹の目で獲物を見つけ、猛烈なアプローチをかければ、まさに入れ食い状態でしょう。まず、狙われたらアウトと思ったほうが間違いない」と嘆息する。
彼女たちがしたたかなのは、後妻業を掛け持ちしていることである。そのため通い婚の形を取るのだが、ベッドなどの家具を運び込む。そして、町内会などに顔を出すなどして、自分の存在を周囲にアピールしていく。
慎重を期すべき公正証書遺言の作成
ただし、内縁なので公証役場で公正証書遺言を作らせないと遺産はもらえない。そこで、最期を看取るなどといった甘言を弄しながら、役場に一緒に行って作成させるのだ。男性にしても、別れるのが嫌なことに加えて、普段から疎遠になっている子どもに財産を遺すつもりなどはなからないので、唯々諾々と従うことになる。
最悪の場合、筧被告の事件のように殺されてしまう。黒川氏の知人の場合は事件化こそしなかったが、見殺しにしたという意味では殺人に近い。そこまではしないとしても、塩分濃度が高かったり、脂っこい食事を与えるとか、炎天下での散歩を強いるなどして、高齢男性の死期を早める方法はいくらでもあるはず。ところが、80代、90代の老人が死んでも誰も不審には思わず、司法・行政解剖はまず行われない。